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実例Q&A

親がビルのオーナーだった場合の相続問題【Q&A №37】 0037

2010年8月26日

 

被相続人所有のビルがありますが、テナント入居時の敷金等が使用され相続時一切残っておりません。

1-3Fでの敷金等合計2000万円程になりますが、この預かり金は相続債務として兄弟間で分割承継されるべきでしょうか?

それとも、当該テナントビル相続者のみに支払い義務が生じるものなのでしょうか?

兄弟は三人で、それぞれ、別の土地、当該建物、当該建物の敷地を相続しておりますが、現状建物相続者のみが敷金の返金をおこなっております。

 

(JIRO)

 

 

【敷金債務は賃貸人の地位に伴って移転します】

建物賃貸人から賃貸不動産の所有権を譲り受けた人は、賃貸人から賃貸人の地位を承継します。

そして敷金返還債務は賃貸人の地位に伴って移転するので、建物の譲受人が敷金返還債務を負担することになります。

質問の事案では、兄弟が別の土地建物を相続しているとのことなので、各相続人が、それぞれ所有し賃貸する土地建物についての敷金返還債務を負担することになります。

当該テナントビルの相続人のみに支払義務が生じることになるでしょう。

【遺産分割協議が無効となる可能性は低いでしょう】

遺産分割協議の段階で、どの土地建物にいくらの敷金が差し出されたかわからない場合があると思います。

どの建物についていくらの敷金が差し出されたのかがはっきりしない状態で遺産分割協議がされた場合には、当該遺産分割協議が錯誤により無効(債権法改正後は取消事由)となる可能性はなくはありません。

しかし錯誤無効(又は取消事由)が認められる可能性は低いと思われます。

遺産分割で賃貸不動産を相続するときは敷金の有無についてしっかりと調査しなければなりません。

【使われた敷金の返還請求ができます】

また、不動産を譲り受けた人が一旦全額の敷金を返還した後で、差し出された敷金を使い込んだ人に対して不当利得返還請求をすることも可能です。

例えば、被相続人以外の人が勝手に敷金を使い込んだ場合、被相続人はこの人に対して使い込んだ敷金を返還するよう請求することができます。

この請求権は相続の対象なので相続人は自己の持分に応じて敷金を使い込んだ人に対して不当利得返還請求をすることができます。

他方、被相続人が敷金を使い込んでいた場合にこの請求をすることはできないでしょう。

【敷金債務を個別に遺産分割の対象とすることもできます】

なお、遺産分割協議に敷金返還債務について個別に分割協議をすることもできます。

この場合には、相続人は一旦敷金の全額を支払った後で、他の相続人に対して、その分割割合に従って支払った額を請求することができます。

いずれにせよ、債務引受けという特別な手続きをしない限り、賃借人からの敷金返還請求を拒むことはできないと思われます。

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