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実例Q&A

分割した遺産を渡してもらえなかった場合【Q&A №38】 0038

2010年9月6日

 

経緯: 執行人=相続人の1人 21年6月被相続人死亡。

公正証書遺言あり 21年11月申告書第1表のみ開示(遺留分侵害ありと知る)

22年4月相続税申告(未分割分含む)納税。納税後に精算すると口約束。

22年5月執行人へ既分割と未分割の金融遺産の引き渡し請求 22年6月未分割分を等分、他の相続人が相続した貸し金は回収不能(執行人のみ申告前に知る立場にあり)としてゼロ円評価、執行人負担で申告済みの件も他の相続人に負担を求める計算書の提示を受ける。

当方から修正計算書を提示し、精算を請求。

22年8月:執行人弁護士から

①遺留分請求権を放棄するなら修正計算値支払う。

②不同意なら未分割分は調停に持ち込み、遺留分問題の調停もあるからその後でないと精算支払は不可、執行人が申告時負担済み分を改めて他の相続人にも負担させるがそれでもよいのかと返答

質問:

1相続財産の引渡しに遺留分請求権放棄の条件付けは問題なしでしょうか?

2減殺請求の期限は?

3減殺請求を受けた側から、回避反論等の調停申し出をすることはあるのか?

4未分割分も遺留分の調停後に精算という主張は不当ではないか?

5既分割の確定分さえ支払い拒否された場合取る手段は?

(長谷川町子)

 

 

【減殺請求の期限は知ってから1年です】

遺留分請求は、「遺留分の侵害を知った時」から1年以内に請求する必要があります。

なお、侵害を知らなかった場合でも、相続開始(=被相続人死亡日)から10年が経過すれば、減殺請求はできないことになります。

【遺言執行者が相続財産の引渡しの条件に、遺留分請求権放棄をいうのは不適切?】

遺言執行者は、遺言の内容を実現するのですが、どこまでの権限を持っているのかは法律ではっきりとは定められていません。

しかし、相続が開始した後ならば、相続人は自由に遺留分減殺請求権を放棄することができます。

従って、遺言執行者が、相続人に対して、相続財産を引き渡す条件として遺留分減殺請求権を放棄するよう強制することはできません。

遺留分減殺請求があれば、執行者は侵害した分に相当する財産を請求者に渡すべきだという考えもありえますが、遺留分を侵害しているのかどうかは簡単には判断できません(例えば、遺産の中にある不動産の評価により、遺留分侵害があったり、なかったりします)。

そのため、私が執行者なら、遺留分減殺請求があれば、調停や訴訟で判断してもらうことにしていますが、執行者の中には、できるだけ円満な解決を図ろうと、相続人間の利害調節に尽力される方もいます。

執行者の方が円満な解決に尽力しようと努力するのはいいでしょうが、中立の立場から離れたり、強制や押し付けをするというのであれば、不適切ということになるでしょう。

【減殺請求を受けた側から、回避反論等の調停申し出をすることはあるのか?】

減殺請求を受けた人は、通常、請求を無視し続けますので、請求者の方から調停を出すことが多いです。

しかし、請求を受けた人が調停を出すことは自由であり、法的にはなんら問題ありませんし、ときどきそのような調停をしているのをみかけます。

【未分割分も遺留分の調停後に精算という主張は不当ではないか?】

(未分割という意味がわかりにくのですが)分割が終了していないのであれば、将来、遺留分調停等で分割ができた段階で精算というのも不当ではありません。

【既分割の確定分さえ支払い拒否された場合取る手段は?】

(既分割の確定という意味がわかりにくのですが)遺言書に記載されていない遺産について遺産分割協議ができたのに、その内容を実行しないというのであれば、調停あるいは訴訟を提起するしかないでしょう。

 

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