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実例Q&A

母の相続分の贈与【Q&A №152】

2012年5月16日


 

15年前に父が死亡。

相続人は母・兄・私です。

父名義の土地・建物を、7年前に家を建て直すと言う事で、母の強い希望により、土地・建物共に兄名義になってしまいました。

このとき母は現金500万を兄に援助しています。

父の相続分の権利は、母2分の1、私4分の1だと思いますが、兄名義にするという事は、その権利(例えば母の2分の1)を贈与したということですか、それとも放棄したということになるのでしょうか?

と言いますのも、未だに15年前の父の遺産分割がその土地・建物以外行われておらず、つまり母が全てを隠し続けておりましたが、その母が余命宣告されました。

それで、慌てて父の遺産分割を行う事になり、 母の遺言で「遺産を一切全て私に相続させる」という母の遺言書を作る事になりました。

この場合、7年前に兄名義になった土地の2分の1は、母が生前贈与したものになるのでしょうか?

そして、母の遺産として計上され、私が相続できるのでしょうか?

また母は自分の生活費とは別に(つまり食費など生活費は自分で払っていた)、兄に毎月12万円を渡してしましたが、これも生前贈与でしょうか?

母が亡くなった場合、どんな訴えを起こせばよいでしょうか?

よろしくお願いいたします。

(mirren)


【母の相続分を遺産に組み入れることができるか?】

母は自分の意思で、父の遺産である不動産を兄名義にしたのですから、その時点で確定的に不動産は兄のものになっています。

これを返還してもらって、母の遺産に組み入れるというのはむずかしいでしょう。

【生前贈与かどうか?】

不動産を兄の名義にした点は、父の相続時の遺産分割協議という合意によるものであり、贈与とは異なります(参考までに言えば、税務上も遺産分割として処理され、贈与とは扱われません)。

ただ、贈与ではないものの、贈与と同じように、母の遺産分割時における特別受益と扱ってもよいではないかという議論は考えられますが、この点についての裁判例は見当たりません。

母の遺産をあなたが全部相続するということですので、兄から遺留分減殺請求がなされた段階で、特別受益になるかどうか問題になります。

【生活費の補助として支払いについて】

母が兄に毎月12万円を渡していたのが、兄の生活費の補助として渡していたのなら贈与になりますが、これが特別受益になるかどうかも難しい問題です。

この金銭を渡した趣旨や、母の収入や支出内容、生活程度、遺産総額、渡した総額がいくらになるのかよって結論が異なりますので、ご質問内容だけでは判断しにくいです。

参考までにいえば、過去の審判例で、月額10万円程度の生活費補助を長年に渡していても、特別受益ではないとしたものがあります。

【どんな訴訟ができるのか?】

母が亡くなった後、兄名義になった不動産の母相続分を取り戻すという訴訟をするとしたら、母に意思能力がなかったので母の持ち分を兄名義にした登記は無効であるとすることも考えられます。

しかし、その後になされた母の遺言の効力もなくなってしまいます。

他に訴訟をする理由も見当たらないと思います。

とりあえずは遺言の執行をし、仮に兄から遺留分の請求があった段階で、特別受益の問題を議論するということになるでしょう。

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