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★母の面倒をみている養子ではない異母兄弟【Q&A №159】

2012年6月8日


 

はじめまして。

私は父の後妻の子(男)で下には弟妹はおらず後妻(母)の長男になるものです。

母とは現在は別に住んでいます。

数年前に父は亡くなり、私の上に前妻(死去)の子である歳の離れた長女と長男がおり、残された母は父の亡くなる以前に、相談もなく突然帰ってきた長男夫婦と不本意ながら同居しています。

上の姉兄は母とは養子縁組をしていないため、母に何かあった際は私が一般的に法定相続人であろうと考えますが、二人ともお金に執着心があり、父の葬儀後も何かともめています。

兄が全てを取り仕切り、相続等の諸手続きを実施し、特に兄弟間では問題なかった感がありましたので兄に感謝していたところでしたが、実際には母に対し兄は母の正当な
相続金を渡さず、そのお金で勝手にお墓を購入したり、実家のリフォームをしたため、母は人間不信に陥り、自身が亡くなった後のことを大変危惧しています。

母は土地物件は所有せず、銀行などに約3000万円程度の預貯金のみを持っており、幸い元気であるため通帳や印鑑などは全て母が管理しています。

姉はともかく、私の立場上は父の墓守であり、母の面倒を事実上みてもらっている?兄とはあまり争いたくないので、生前に母の財産を整理する良い方法と、遺言書ならびに遺産分割協議書との関係をあわせて教えてください。

 

(カノン)


【贈与、遺言と遺産分割協議の関係】

母が生存しているときに財産を他の人に与えるのが《贈与》です。

母がその意思で、自分が死んだときの遺産の処理を決めておくのが《遺言》です。
遺言を書かずに母が死んだときに、相続人の間で遺産分けの話をするのが《遺産分割協議》です。

なお、今回の質問の場合、後妻であるあなたの母と先妻の子供たちとの間で養子縁組がされていなのですから、あなたの母の子供はあなただけであり、先妻の子は相続人ではありません。

そのため、遺産分割協議をする必要がありません。

【遺言はしなくともあなたに全遺産がくる】

母が再婚しない限り、相続人は子供であるあなただけですので、特に遺言はいらないでしょう。

【税金のかからない贈与もあるが・・】

贈与なら母の生存中にあなたに財産を移動させることが可能です。

しかし、預金3000万円を一度に移転させるということになると、贈与を受けたあなたに約1200万円程度の贈与税がかかります。

この税金を払わないようにするには、年額で110万円の基礎控除内で長年にわたり贈与を続けると贈与税はかかりません。

また、相続時精算課税という制度を利用すれば金2500万円までであれば、贈与税はかかりません(但し、一定の要件を充たさないとこの制度を利用することはできませんので、是非、税理士にご相談ください)。 

ただ、当然のことですが、母が死ぬまでは財産は自分で持ちたいというのなら、贈与を利用できません。

【相続なら・・】

相続なら、現在の税制では、あなたの場合は金6000万円まで相続税がかかりませんので、税金面からは相続を待つのが一番いいでしょう。

しかし、問題は母と先妻の長男が同居しているという点です。

母も年齢を重ねれば重ねるほど、知的な能力も衰えてきます。

その場合、同居している先妻の長男が、母の預金通帳や印鑑を管理するということも考えられますし、長男に遺産を相続させるというような内容の遺言書を書かせるかもしれません。

【贈与なのか、相続なのか・・】

母が元気なうちに、あなたが母を引き取って、先妻の長男の影響の及ばないところに移すことができるのなら相続まで待てばいいでしょう。

しかし、そのようなことができないのなら、早い段階でできるだけ税金がかからないやり方で贈与を受けておくべきでしょう。

母の持っている預金の全部というのではなく、一部でも贈与を受け、残額は母の手元に残すという選択肢もあるでしょう。

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