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実例Q&A

★年金タイプの生命保険は遺産になるのか【Q&A №181】

2012年7月26日

私は長男で、妹が二人います。

母が3年前に、父が半年前に亡くなりました。

遺言書で相続分が少なかった私は遺留分減殺請求をするとともに銀行の取引履歴を調査しました。

遺言執行者である長女が提示した遺産目録では、預貯金は1500万円、家と合わせて遺産総額は3000万円ということで、私に500万円(1/6)入金してきました。

ところが銀行の取引明細から、5000万円以上の使途不明金が判明しました。

妹達は「生命保険はない」と言っていましたが、調査により、母の死後、父が亡くなるまでの2年半のうちに300万円から500万円単位(一括払い)でいくつもの保険や年金に加
入し、受取人は妹達になっていました。

以前から入っていた保険・年金も母の死後、妹達に受取人が変更されていました。

受取額は一人1300万円から1500万円になります。

残る使途不明金も同様に変更されている可能性が高く、80歳を超えた父が自ら加入したとは考えられず、妹達が考え付いたとことと思います。

ネット検索で、生命保険金も特別受益になる場合があることがわかりました。

この場合、特別受益になる可能性はないものでしょうか。

保険会社は詳しい契約状況を開示してくれないので、妹達が勝手に契約したのか、父の意思で契約したのかはわかっていません。

父は老人ホームに入居していて、亡くなる前2年間は入退院を繰り返していました。

今後、どのようにすればよいものでしょうか。よろしくお願いします。

(juju)

【生命保険金は原則として特別受益に該当しない】

被相続人の生命保険金(年金)の受け取り分は、原則として遺産になりません。

この点については最高裁判所の判例(最決16年10月29日民集58巻7号1979頁)があります。

この判例では、保険金受取人である相続人とその他の共同同族人との間に生ずる不公平が到底是認できないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情があるときには、生命保険金も特別受益として扱われると判断されています。

具体的には、保険金の額、遺産に占める保険金額の割合、同居の有無、被相続人の介護等に対する後見の度合い、相続人と被相続人の関係、相続人の生活の実態などの様々な事情を考慮して判断されます。

例えば、遺産の額と生命保険金の受取額を比較した場合、ほぼ同等か、あるいは生命保険金の額の方が多いような場合には特別受益とされる場合があるでしょう。

【本件の質問の場合は特別受益になる可能性もある】

本件では、長女が提示した遺産総額は3000万円であるのに対して、保険の受取額が記載されていませんが、少なくとも2800万円以上になりますので、特別受益になる可能性があります。

もし、使途不明金(約5000万円)の全額が保険の一括支払いの原資であったということであれば、特別受益になる可能性が高いでしょう。

【違う観点から考えてみると・・】

違う観点から考えることも可能です。

これらの保険契約は果たして、父の真意に基づくものかという観点です。

言い換えれば生命保険金受取金は遺産ではないということを知った妹達が、父の意思と関係なく、勝手に保険契約したのではないかということです。

この場合、保険契約は無効になります。

この点については、生命保険会社から契約書を取り寄せし、契約者の署名が父のものかどうかを確認しても良いでしょう。

また、保険契約当時の父の意思能力も確認しておく必要があります。

父の意思能力がない場合にも保険契約は無効になります。

なお、使途不明金を誰が引き出したかを調査することも必要な調査事項です。
(参照リンク:相続Q&A No.180)

【ぜひ、弁護士と相談されることをお勧めします】
 
「使途不明金」が生命保険金の支払いに使われたのかどうか、また、そうでない金額があるとするとそれは誰がもらったのかという問題があります。
 
また、保険契約の内容や署名も確認する必要があります。
 
加えて、相続人間に著しい不公平があるかどうかという法的判断の問題もあります。
 
そのため、本件問題については、専門家である弁護士の知識や経験が必要不可欠です。
 
弁護士会などに連絡し、相続に詳しい弁護士を紹介してもらって、具体的な事情を説明し、早期に弁護士に事件を依頼するのが望ましい案件だと思います。

福岡県弁護士会 http://www.fben.jp/

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