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実例Q&A

両親の家を提供した子の寄与分【Q&A №242】

2013年2月13日


 

父と長男共有不動産に両親が20年住み母が死亡後父のみ一人で住んでいます。
 
相続発生した際長男の寄与分は認められますか。

 

(じゅら)


【「寄与分」とは顕著で財産的なものです】

共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合に、この特別の寄与を考慮して、この者に対して相続財産の持分権を与える制度が「寄与分制度」です。

寄与として考慮されるには、その寄与が「特別の寄与」であると評価されるものでなければなりません。

これには、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の貢献をしたことが求められます。

具体的には、父親が経営していた事業(農業など自営業)をほとんど無報酬で手伝っていた場合や、父親名義の自宅物件の住宅ローンを全額息子が肩代わりして返済したような場合には寄与分がみとめられるでしょうが、給料をもらって家業を手伝った場合などは寄与分を認められることは少ないでしょう。

今回の質問では、父や母と同居して生活していたというだけでは、それらは何ら財産的なものではなく、単なる親子関係の問題にすぎません。

また財産的な側面を有していたとしてもそれら全てが寄与分に該当するわけではありません。

【半分は父親自身の建物】
 
今回の相談では、両親の住居を長男が提供したため、両親は住居費の支出を免れています。

 
その結果、両親は住居費に相当する資産の減少を防いだものとして、両親の遺産に対する一定の寄与が存在すると考えられます。
 
しかし、子名義の物件を両親の居住に提供すること自体は通常よくあることであり、又、今回の物件は持ち分の半分が父親の名義であること、長男が住宅ローンを肩代わりしたような事情が見あたらないことなどから、寄与が顕著というのは難しいでしょう。
 
なお、寄与分は一般に相続人の寄与行為によって形成された積極財産(不動産や預金など)が存在する場合に認められやすいものですが、今回のように、一定の支出を免れたというだけでは実務上、寄与が認められることは少ないことも理解しておいていいでしょう。

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