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実例Q&A

★預金の取引履歴を調査する方法【Q&A №362】

2014年4月3日

 

 

【質問の要旨】

被相続人の預金が生前に勝手に引き出された可能性がある。

解約済みの定期預金等含めて、預貯金の取引履歴を調べることが可能か?

【ご質問内容】

父方の姉が亡くなり、子供おらず旦那も先になくなっている為、父方の兄弟で相続することになりました。

ただ、亡くなった姉は生前入院していたので、兄弟がお金の管理もしていたようです。

いざ、遺産整理をするとなったのですが、管理をしていた兄弟から通帳の開示もなく、簡単に記入した紙切れ一枚に遺産の内容が書かれていただけでした。

どうやら途中で引き出してる可能性が多々ありそうなので、正しい銀行の履歴を調べたいのです。

特にすでに生前に解約済みのゆうちょの定期預金の取引履歴?残高を調べたいのですが、できますでしょうか。

調べ方を教えて下さい。

また、取引履歴とは入出金振替などすべて開示していただけるのでしょうか。

よろしくお願いします。

なかなか、郵便局での開示請求に手こずっております。

(りき)

 

 

【調査は可能です】

被相続人の生前の預貯金管理をしていたにも関わらず、兄弟は預金通帳も開示せず、ただ遺産の中身を記したメモ書きを示しただけ、ということですので、管理していた預貯金の動きが全く見えません。

そういう意味では取引履歴を調査する必要性が高い案件といえるでしょう。

かなり昔は、相続人全員が同意しなければ取引履歴を開示しない金融機関も多かったのですが、平成21年に最高裁判決により相続人の一人による開示請求が認められました。

(最高裁判決については「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」 を参照ください)。

その結果、現在では、戸籍(除籍)謄本などの必要書類を提出することで、相続人であれば、単独でも被相続人名義の預貯金口座を調査することが可能です。

《ゆうちょ銀行》についても、同様に開示をしてもらえます。

【定額貯金には要注意】  

なお、取引履歴には、入出金だけではなく、振替も記載されており、対象期間内の預貯金の動きがすべて記載されています。そのため、一般の金融機関であればこれで入出金の動きを一通り確認することが可能です。

ただ、ゆうちょ銀行の定期(定額)貯金は特殊な扱いが行われているため注意が必要です。

ゆうちょ銀行の定期(定額)貯金には通常貯金と違って「取引履歴」という資料が存在しません。

そのため、一定の日付を指定して定期(定額)貯金口座の有無を問い合わせする(これを「現存照会」と呼びます)とよいでしょう。

そうすれば被相続人名義の定期(定額)貯金口座が存在したか否かを教えてくれます。

これを元に、解約日や問い合わせ時点での残高などを照会することができます。

なお、定額貯金は解約されるといったん通常貯金に振り返られるため、通常貯金の取引履歴さえ確認できれば、合わせ技で定額貯金の入金と出金(解約)を確認することが可能です。

【照会に必要書類】

必要書類ですが、被相続人の死亡したこと、あなたが法定相続人であることを証明する戸籍(除籍)謄本に加えてあなたの本人確認のための書類(運転免許証)などはおそらくどこの金融機関でも必要でしょう。

そのほか実印や印鑑証明書などの提出書類を求める金融機関もありますので、あらかじめ必要書類を問合せておくとよいでしょう。
(なお、手続についてはQ&A №205ほか参考カテゴリ:「遺産調査」もご参照ください)

【相続人本人の調査を拒否できるのか?】

なお、金融機関の中には「弁護士なら回答する」という対応をするところもあるようです(Q&A №342ほか)。

しかし、このような金融機関の拒否回答に法的な根拠はなく、不当なものです。

おそらく銀行は本人からの問い合わせに安易に履歴を開示することで他の相続人(今回は兄弟)からクレームが付き、トラブルになることを恐れて相続人の方を門前払いしているのでしょう。

あなたとしては、このような不当な回答拒否に負けず、上記の指摘した判例を根拠に「取引履歴の開示義務があるはずだ」と粘り強く開示を要求しましょう。

それでも金融機関の態度が応じないのであれば、費用はかかりますが交渉の手間と時間短縮のため、弁護士に依頼することも検討するとよいでしょう。

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