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実例Q&A

嫁入り道具と持参金の扱い【Q&A №377】

2014年5月28日


 

父の遺言書で不動産祖先祭祀は兄、預貯金は母、株は母と私と指定されていました。

兄の引き継ぐ不動産の維持管理費を 請求してきましたので、不動産を相続してた者が支払うものでしょうと言って、拒否しました。

兄の言い分は売ることもできない不動産の管理をおれにさせるのかというものです。

母が半年前に他界して、遺産相続協議書を作りました。その中に「この協議書に記載されていない財産、および、知られざる遺産(積極財産、消極財産とも)は、すべて兄が取得または承継する。」という一項ががあるから、母が相続するように書かれているものはすべて兄が相続する権利があると言ってきました。

また、嫁入り道具にかかった費用を計算に入れると言っています。兄も、多額の結納金を親から出してもらっているし、家を建てたときにもお金をたくさんもらっています。しかし、そのようなものは一切もらっていないと言い切ります。

母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか。嫁入り道具はどのように考えるべきでしょうか。計算の仕方を教えてほしいです。母はメモを残している可能性があります。

持参金と嫁入り道具では考え方が異なりますか。

記載内容  嫁入り道具 持参金 遺産分割協議 死亡した人に遺贈する遺言の効力

(みつこ)


【まず、母が死亡し、その後、父が死亡したと理解しての回答】

質問ではお母さんとお父さんのどちらが先に死亡したのかが明らかではありません。

ただ、質問中に「母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか」とあり、この「今回の件」とはお父さんの死亡ということだと理解すると、経過としては次のとおりになると思います。

お父さんの遺言書作成⇒お母さんの死亡⇒お父さんの死亡

この前提で、以下のとおり回答します。

【遺産分割協議書はその被相続人の遺産について効力を有する】

お母さんの遺産分割協議は、お父さんとあなた、お兄さんの3人(と思われる)で作成されているはずです。

ただ、遺産分割協議は、被相続人であるお母さんの遺産について効力を有します。

お母さんの分割協議の段階ではお父さんは死亡していないのですから、お父さんの遺言書に「預貯金は母」、「株は母と私」と記載されていても、遺産分割協議の時点ではお父さんの預貯金や株は、お母さんの遺産ではありません。

従って、お父さんの保有している預貯金や株がお母さんの遺産分割の対象となることはありません。

【死亡した人に対する遺言は無効】

お父さんの遺言書に記載されていた「預貯金は母」等の記載は、その遺言書が効果を発揮する(お父さんが死亡した)時点では、既にお母さんが死亡していましたので、上記遺言書の部分は効力を失っており、お母さんのものになることはありません。

そのため、お母さんの遺産分割協議書に「この協議書に記載されていない財産・・は、すべて兄が取得または承継する」との条項があったとしても、お兄さんのもらう分が増加することはありません。

【嫁入り道具と結納金、建築代金の補助】

嫁入り道具については特別受益になるとの考えもあります。

しかし、一方ではお兄さんも結納金を出してもらっているのが普通です。

調停などの実務の扱いでは《痛み分け》ということで双方の主張を相殺する、あるいは主張を双方が撤回するという扱いをすることも多いです。

もちろん、嫁入道具額と結納金のどちらかがあまりにも多額であり、差額が大きすぎる場合には、相続人間の公平を考慮して特別受益とされる場合もありえますが、その場合には差額が多額であるという点を証明する必要があるでしょう。

【お母さんが残したメモの効力】

お母さんが残しているとされる(おそらく持参品に関する)メモがある可能性があるようです。

ただ、私(大澤)が経験したケースでは、持参品を毛筆で記載した巻物風の目録が提出されたケースがありましたが、この場合も、結婚式費用や結納金、嫁入り持参道具などを考えて、双方が互いに特別受益の主張を撤回するということで最終解決をしました。

兄弟姉妹間で極端な差額がない限り、一方の分だけを特別受益にすることにはならないと考えていいでしょう。

【嫁入り道具等の計算のしかた】
嫁入り道具については、そのもらった当時の時価を前提に金額に換算して計算します。

持参金はその金額でカウントしますし、結納金を出してもらった時もその金額で計算します。

ただ、繰り返しになりますが、嫁入り道具や持参金が莫大な金額というのではない限り、特別受益としては扱われない可能性も高いです。

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