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実例Q&A

生前に引き出された預金と遺言【Q&A №426】

2015年1月23日

 

 

親が死んで、遺言書が見つかって、3人子供がいて、私が全財産もらうことになったのですが、親の財産は貯金だけで不動産その他ありません。

ところが、貯金をみたら、すでに、親が死亡する前に1000万円ぐらい全額ひきおろされてました。

 姉が、親と一緒にきて、おろしていったそうです。

ところが、そのお金はあねが管理するとかいって、親にわたさずに自分の預金口座に入金してしまっており、電気代とかは そこから引き落とししてたようです。

しかし、お金の大部分はのこっているはずなのですが、 姉はじぶんのものにしてしまいました。

この場合、どう対応したらいいのでしょうか?

記載内容  全財産 遺言 死亡直前 贈与 預け金 法定相続人への特別受益

(fandango)

 

【お金を預けたのか、贈与したのかにより結論が異なる】

親御さんと一緒に行って預金1000万円を引き出したというのですから、預金の引き出し自体は親御さんが納得されていたのでしょう。

ただ、その後、その金銭をお姉さんが保管することになったことをどう見るかという問題があります。

親御さんの電気代等はその口座から引き落とされていたという点から見れば、お姉さんに管理してもらっていたということも考えられ、親御さんがお姉さんに1000万円を預けていたということになる可能性があります。

しかし、お姉さんの口座に入金している点からは贈与と考えられる余地も出てきそうです。

結局は預金引き下ろし時点でどのような話が親御さんとお姉さんとの間であったかで決まることであり、質問からはどちらとも断定することはできません。

以下のように場合分けした回答をします。

【預け金の場合・・全額、返還請求できる】

親御さんがお姉さんにお金を預けていたのであれば、親御さんはその預けた金銭の返還を請求できます。

遺言書であなたが全財産を相続することになったのですから、預け金の返還請求権はあなたに相続されます。

したがって、電気代等で引き落とされた分を差し引いた残額を請求するといいでしょう。

【贈与の場合は、特別受益であり、遺留分請求の問題となる】

贈与となる場合には、遺留分減殺請求で返還を求めることしかできません。

遺言で全財産をもらうことになっていたとしても、親が死亡した当時、遺産が何もないのであれば、その遺言は役に立たず、あなたは遺産をもらえません。

ただ、生前にお姉さんに贈与されており、あなたに遺産が全く来ない(あるいは少ししか来ない)場合には法律であなたに本来の法定相続分の半分を返還するように請求(遺留分減殺請求といいます)することができると定められています(民法第 1031条末尾参照)。

法定相続人の特別受益については、時期を問わず、原則として遺留分に持ち戻しされます。

今回のお姉さんの1000万円の贈与は遺留分減殺の対象になるでしょう。

【あなたとしては預け金と主張する方が有利である】

以上の説明からお分かりのように、あなたとしては預け金として返還を請求する方が有利です。

ただ、その主張が通るとは限りませんので、万一、そうでないとしても遺留分減殺請求をするという二段構えで対応する必要があります。

なお、お姉さんが簡単にあなたの請求に応じるようにも思われませんし、預け金か贈与かという訴訟でしか解決できないような問題もありますので、早期に弁護士に依頼するということも選択肢の一つとされるといいでしょう。

《参考条文》
民法 第1031条 (遺贈又は贈与の減殺請求)
 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

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