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実例Q&A

名義を換えた母の家は誰のものか【Q&A №442】

2015年4月27日

 

 

【質問の要旨】

母の唯一の財産である家が、妹の名義に書き換えられていた。

母が亡くなったら、私には相続権はない?

【ご質問内容】

母は一人暮らしで一軒家です。

すぐ隣に次女夫婦の一軒家があります。

長女の私は遠方です。

母はまだ元気ですが、なにかと近くにいる次女を頼りにする気持ちがあり、これから面倒かけるのは次女だからと言われました。

しかし金融財産はほとんどなく、あるのは8000万円で建てた築15年の家が母の唯一の財産です。

母が亡くなったら次女と二人で家を売り、結果的に面倒をみた方に多い割合でお金をゆずろうとは思っていました。

名義変更は私に相談もありませんでした。

このままだと私には相続の権利はないのでしょうか。

(ノースポール)

 

【まずは、母が名義変更を了解したのか確認する】

質問では母の自宅の名義(法的には「登記」といいます)が、母から妹へ移転されたことが前提となっています。

その前提で回答していきます。

まず、母がこの登記の移転にきちんと同意していたかどうかを確認しましょう。

母の知らないところで登記移転がなされたのなら、その登記は無効です。

次に、母が了解していなかった、あるいは認知症で判断能力がなかった場合にもその登記の移転は無効です。

このような場合、あなたとしては登記移転が無効であると主張することになるでしょう。

【異議を述べるのは母の権利】

ところが、登記が無効であっても、名義を母に戻すよう請求するのはあくまで母の権利です。

たとえ娘であっても母の代わりに主張することはできず、あなたは、母に「この登記は無効である。取り返すべきだ」と促すことしかできません。

そのため、もし母が「これは自分の意思で二女に贈与したものだ」などと、登記移転を認めるような態度を取るのであれば、もはや無効主張はできません。

(※この場合、後述の遺留分減殺請求を主張することになります。)

【母に判断能力が無い場合】

もっとも、母が認知症などで判断能力がなかった場合は話が変わってきます。

この場合には母の判断能力がないため、母が自分で登記の無効を主張することができません。

そのため、このような場合は家庭裁判所に対して母の成年後見人を選任する申立を行い、裁判所から選任された成年後見人が取戻しの手続きをする、という段取りを踏む必要があります。

(ただし、成年後見人の仕事は主として就任時点で残された財産を守ることにあると考えられるため、就任前の移転登記の無効主張をしてくれるとは限らないことに注意が必要です)。

【母の死亡後は遺留分減殺請求を行う】

贈与の無効が主張できないまま母が死亡した場合、登記移転された不動産以外に母の遺産がない場合には、あなたとしては妹への贈与に対する遺留分減殺請求ができます。

遺留分減殺請求とは、最低限の相続分を確保する権利のことですが、あなたの遺留分は法定相続分のさらに2分の1です。

具体的には、母の相続人が娘2人の場合、あなたの法定相続分は2分の1です。

そうすると、あなたの遺留分はその2分の1、つまり遺産の4分の1の限度で遺産を取り戻す権利があります(相続ブログQ&A №430参照)。

今回のケースでは、遺留分侵害があることを知った日から1年以内(母の死亡からではなく、母の死亡後で生前の贈与があったこと、ほかに財産がないためあなたが遺産をもらえないということを知ってから1年以内)に、妹に対して遺留分減殺請求の意思表示をし、贈与された母の自宅不動産の4分の1を返還してもらうことができます。

(なお、民法が改正され、令和元年7月1日以降に発生した相続については、遺留分の請求により生じる権利を金銭化し、「遺留分侵害額の請求」という形で請求することになりました。詳しくは「相続法改正9 遺留分制度に関する見直し」を参照してください)。

ただ、この手続きはむずかしい点もありますので、ご自身だけで手続を取るよりも、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

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