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実例Q&A

姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】

2016年5月30日


【質問の要旨】

姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】

要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました。

姉の所で世話になっていたのは、5年間です。

月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし た。

差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか?

世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。

母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)


【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】

姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません。

お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。

仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。

ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。

【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】

お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります。

ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。

わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。

仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります。

参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。

【570万円の扱い】

この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます。

①お姉さんが勝手に使った場合

お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。

お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。

②お母さんが生前贈与した場合

もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。

③お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合

お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。

今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。

もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。

この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】

東京家裁:平成21年1月30日審判

被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。

 

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