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実例Q&A

土地を相続 相手企業が地代を法務局供託【Q&A №611】

2018年6月26日


【質問の要旨】

相続した土地の地代を供託されたが、供託金を受け取るには

記載内容  地代 供託 承諾

【ご質問内容】

土地を相続したのですが、兄弟2人で話し合いがつかず、土地の相続ができません。

すると、土地を借りている相手企業が兄弟どちらに地代をしはらっていいのかわからない、といって法務局に供託しました。

1、この場合、供託金を法務局からうけとるには どうすればいいのでしょうか?

全額もらえますか?

もらうとき、兄弟の承諾書は必要ですか?

相続争いのため、兄の承諾はもらえそうにないです。

このままだと、誰も地代をもらえず、ということになるのでしょうか?

2、もらえない場合は、相続分に応じて請求できますか?

土地は父親(死亡)の名義になっていて、最近母親が死亡して、

その母親の遺言書(家裁検認済み)でわたしが全部母親の財産を相続することになったのですが、

この場合、母の法定相続分2分の1、と私の相続分4分の1、あわせて4分の3受け取れるとおもうのですが、

法務局には、母の遺言書とかも一緒にもっていかなくてはならないのでしょうか?

他に持っていく書類はありますか?

(オリエンタル)

 

 

※敬称略とさせていただきます

【賃料は遺産とは別物です】

遺産分割前の賃貸不動産で発生する賃料については、平成19年の最高裁の判決(最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決・民集59巻7号1931頁)で

①賃料は遺産とは別物である

②賃料は各法定相続人が各々の法定相続分に応じて取得する。

と判断されています。

そこで、遺産分割ができていない場合、各法定相続人がそれぞれの法定相続分に相当する賃料を取得する権利があるということになります。

【供託金を還付してもらうために必要な書類】
今回、借主が地代の支払先に困り、賃料を供託したということですが、この供託金についても、あなたの相続分に相当する額について、還付を受けることが可能です(なお、同様の事案において、供託金のうち法定相続分の還付を受けることができると判断した裁判例として、【相続判例散策】供託された株式の配当金、自分の相続分だけ受け取れるか?名古屋高判平成23年5月27日(平成23年(行コ)11号)参照)。

ただ、供託金を還付してもらうには、ご自身が当該土地の相続人である(つまり、当該土地の所有者の一人である)こと及びその相続分がどれだけかということがわかる資料が必要です。
あなたの場合、お父さんが先に亡くなり、次にお母さんが亡くなってお母さんについては遺言書があるというのであれば、具体的には、
①供託物払渡請求書(供託所にも置いてありますし、法務省のホームページにもあります)
②実印と印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)
③戸籍・除籍謄本、遺言書等相続人であることと相続分のわかる書類
が必要になると思われます。
ただ、念のため、法務局に行かれる前に、具体的事情を説明した上で、必要書類を確認されるとよいと思います。

【供託金の全額を還付してもらうには承諾書が必要】

前記のとおり、あなたの相続分のみを受け取るには、必要書類をもって法務局で申請すればよいです。

ただ、全額の還付にはお兄さんの承諾書が必要です。

お兄さんから承諾書がもらえそうにないのであれば、全額の還付を受けるのは難しいでしょう。

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