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実例Q&A

父親の相続対策について【Q&A №618】

2018年9月11日


【質問の要旨】

遺言を使用した場合の相続税対策および遺留分

記載内容  遺言 不動産 相続税

【ご質問内容】

 標記内容についてですが、父は現在老人ホームに入所し、1年になります。

脳梗塞 が原因での入所になりましたが、最近覇気が無く、認知症も発症してきている状況です。

家族構成は、父親、母親(自宅で1人暮し)、同じ敷地内に私(長男家族)、近所に 父親との共有名義で次男、三男が、その土地にそれぞれ自宅を建てています。

敷地内 には、4所帯の2階建てのアパートがあります。

この様な状況での質問です。

①遺言書(自筆)を使用すべきか。

遺言書の存在は、私と母親のみ知っていますが、内容には、長男に母屋、アパート、 預貯金等を相続させ、次男、三男はそれぞれの土地を相続との内容です。

ここで心配 な点は、母親の取り分が記載されていない(私に高額な相続税がかかる)ことです。 仮に遺言書を使用かつ、母親にのみ相続法定分の2分1を申請させることは可能でしょ うか。

この様な場合、次男、三男にも6分1づつになるのでしょうか。

また、現在次 男、三男の土地が遺留分を満たしているかの確認や遺産分割協議は、次男、三男が申 し出ない限り、する必要はないのでしょうか。

②現在の相続税(概算)と次男、三男の遺留分の確認

②に関しては、どちらで確認できるのでしょうか。 よろしくお願いいたします。

 
(キンカン)

 

 

※敬称略とさせていただきます

【遺言書を使用した場合、虚偽の申告になる】

遺言書とは異なる内容の申告(遺言書では財産をもらわないはずの母が相続税の申告では2分の1を取得する)というようなことが可能かという質問です。

母は配偶者ですので相続制上、優遇されており、その相続した財産が遺産の2分の1以下であれば、原則、相続税の課税はありません。

あなたとしては、不動産は遺言書のとおりにもらって、相続税の申告では母の優遇税制を使用するという形で、あなたの相続税をなしにあるいは軽減することはできないかという考えをお持ちのようです。

ただ、結論から先にいいますと、そのような手法で相続税を軽減することはできません。

なぜなら、父の不動産をあなた名義に移転登記をした場合、その登記がなされたことは法務局で国税庁に通知されます(不動産の移転登記は全て税務署に通知されることになっています)。

そのため、あなたが遺言書に基づき、不動産の移転登記をした場合、その登記については国税庁は把握していることになります。

そのため、登記とは全く異なる内容の、母が2分の1を取得したということを前提とした相続税の申告書が出てきた場合、税務署は必ず、税務調査を開始します。

結局は、あなたは真実の権利関係と異なる申告をして、虚偽の申告をしたことになり、不申告加算税や延滞税を課される可能性が極めて高いです。

【遺産分割協議をする必要はあるか?】

相続人全員の同意がある場合、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることは可能です。

但し、一旦、遺言書に基づいてあなたの名義に移転登記した場合には、税務署は遺産分割は既に終了していると扱うことが多いです。

そのため、その後に法定相続人全員が同意して遺産分割協議書を作成しても、税務署としては、それは、遺産分割協議に基づくものではなく、新たな不動産の移転として譲渡税課税をしてくる可能性がありますので、ご注意ください。

【遺留分減殺請求を満たしているかどうかの確認について】

二男及び三男の取り分が、遺留分を満たしているかどうかについては、遺産全体と二男及び三男の取り分とを比較して、各遺留分である12分の1に達しているかどうかで判断します。

ただ、生前の特別受益があれば、その分が遺産に持ち戻され、遺留分算定の基礎になることがありますので、その点も注意されるといいでしょう。

【相続税対策について】

父に認知症が出てきたということですが、認知症が軽度であれば遺言書の作成が可能です。

現時点で父の判断能力を確認したうえで、能力があるというのであれば、相続税節減の方策を税の専門家である税理士に確認された後、遺言書を書き換えを考えられるといいでしょう。

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