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実例Q&A

相続法改正3 持戻し免除の意思表示の推定

2019年8月5日

今回の相続法改正では、亡くなった方(被相続人)の配偶者を保護するための方策が多く取り入れられています。

そのうち、配偶者が被相続人の死後も自宅に居住し続けられるようにする権利(居住権)を保護する方策(短期居住権及び長期居住権)については、これまでに紹介してきました。

今回は、被相続人が生前又は遺言書によって、居住用不動産を配偶者に贈与した場合の保護について、解説します。

【長期間婚姻している夫婦間での居住用不動産の贈与等の保護】

今回の改正では、婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他方に対し、その居住のための建物又はその敷地(居住用不動産)を生前又は遺言書によって贈与した場合には、原則として、計算上遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り扱わなくてよいということにしました(これを、持戻し免除の意思表示推定といいます)。

わかりやすくいえば、居住用不動産の贈与を受けた配偶者は、遺産分割の際に、居住用不動産をもらったことを考慮せずに残りの遺産の分割を受けることができるということです。

【これまでの制度の問題点】

これまでは、生前に贈与を受けても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして、遺産分割時の取得分がその分だけ減らされていました。

たとえば、以下のような事例で考えてみましょう。

例)相続人:配偶者と子2名

  遺 産:居住用不動産・・・評価額2000万円

  その他の財産・・・6000万円

この事例で、配偶者が居住用不動産について、生前に贈与を受けていた場合、これまでの制度では、遺産分割時の配偶者の相続分は以下の通りでした。

  遺産の合計=2000万円+6000万円=8000万円

  配偶者の相続分=8000万円×1/2=4000万円

  遺産分割時における配偶者の取得額=4000万円-2000万円=2000万円

この結果、配偶者が得た財産は、生前に贈与を受けた居住用不動産2000万円と、遺産分割で得た2000万円の合計4000万円ということになります。

つまり、せっかく生前に贈与を受けても、その分が遺産分割時の取得額から控除されてしまうため、結果として配偶者が相続できる財産額は同じでした。

しかし、これでは、贈与をした被相続人の意思を尊重しているか疑問であった上に、配偶者の長年に渡る貢献に報いる意味や、老後の生活保障の意味でも、問題があると考えられていました。

【改正された結果、配偶者はより多くの財産を取得することが可能に】

今回の改正の結果、上記と同じ事案で、配偶者の相続できる財産は、以下の通りとなります。

  遺産の合計=6000万円(相続時に残っている財産)

  配偶者の相続分=6000万円×1/2=3000万円

  遺産分割時における配偶者の取得額=3000万円

この結果、配偶者が得る財産は、生前に贈与を受けた居住用不動産2000万円と、遺産分割で得た3000万円の合計5000万円ということになり、贈与を受けなかった場合よりも多くの財産を最終的に取得できることになります。

【持戻し免除の意思表示推定規定の施行日は、2019年7月1日です】

持戻し免除の意思表示推定規定は、2019年(令和元年)7月1日から施行されています。

そのため、施行日後に行われた贈与等についてのみ適用され、相続開始が施行日後であっても、施行日前にされた贈与等については適用されません。

ご注意ください。

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