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実例Q&A

相続法改正6 自筆証書遺言の方式緩和

2019年8月19日

【自筆証書遺言が作りやすくなりました】

亡くなった方が残す最後のメッセージ。それが遺言です。

一般には「ゆいごん」と呼ばれますが、法律上は「いごん」と読みます。

遺言には大きく分けて、本人の手書きで作成する「自筆証書遺言」と公証役場で作成する「公正証書遺言」の2つがあります。

今回の相続法改正では、手書きで作成する「自筆証書遺言」が一部パソコンで作成可能になるなど作りやすくなる改正がありましたので、ご紹介したいと思います。

【これまでは全文を手書きで作成】

これまで、自筆証書遺言はその名の通り、全文を遺言作成者本人が手書きで作成する必要がありました。

自筆証書遺言は、書き方さえ知っていればペンと紙、そして印鑑があればいつでも、どこでも無料で作成できるというお手軽さが大きなメリットです。

しかし、その手書き自体が困難を極める事態が起きていました。

たとえば、「全財産を長男Aに相続させる」というような簡単な一言で終わる遺言なら簡単に作成できます。

しかし、遺言を作るのは一般に高齢の方が多いため、

    「一戸建ての自宅は長男Aに・・・」
    「賃貸経営のマンションは長女Bに・・・」
    「○○銀行の預金は二女Cに・・・」
    「△△信用金庫の預金は二男Dに・・・」
    「その他の財産は甥のEに・・・」

…などと細かく遺産の分け方を書きたい場合、高齢の遺言者が全文を手書きで作成することが非常に難しかったのです。

しかも、土地を指定する場合は地番や面積、地目といった細かい情報記載が必要ですし、銀行預金の場合は金融機関名や取り扱い支店名、口座番号といった情報を記載する必要もあります。そのため、財産が多い高齢の方は、財産情報をすべて手書きで、しかも書き間違えないよう作成することは非常に難しいことでした。

【財産目録はパソコンで作成OK】

今回、全文を手書きする必要がある、という点が改正されました。

この土地や預金など、財産目録をパソコンで作ったり、通帳のコピーを遺言に添付したりすることで、遺言が簡単に作成できるようになりました。

この改正で、高齢の遺言者が土地や預金の細かい情報まで詳しく手書きしなくとも、家族や専門家にパソコンで作ってもらう方法が使えるようになりました。

【パソコン化でも偽造をしっかり防止】

他方で、パソコンで作成するなら誰かが勝手に財産目録を差し替えて遺言内容を偽造できるのでは?という懸念もありました。

そこで、改正法ではパソコンで作成された財産目録にも遺言者の署名および印鑑を押印することにして、他人が勝手に偽造できないよう防止する措置が設けられました。

【2019年1月13日以降に作成された遺言に適用】

この自筆証書遺言に関する改正は、すでに2019年1月13日から施行されています。

もっとも、施行日以降に死亡された方の遺言であっても、遺言作成が2019年1月13日以前の遺言には適用されません。

以前の遺言の場合、改正前の要件(全文自筆)を満たすことが必要ですので、遺言の作成日にはご注意ください。

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