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実例Q&A

甥による不正出金や契約書偽造への対処法【Q&A №660】

2019年8月30日

 

【質問の要旨】

・介護施設入所中の母の通帳や実印等が施設からなくなっていた。

・母死亡後、母の生前や死後に母の甥によって不正出金がなされていたことが判明し
た。

・母名義の不動産も母の甥を債務者とする根抵当権が設定されていた。

・母の甥の筆跡書類もあることから、施設入所時から文字も書けない状態であった母に無断で不正出金や根抵当権を設定した母の甥に対し、告訴することは可能か。

 

【ご質問内容】

① 介護施設へ入所していた母(90歳)のもとへ母の甥(70歳)が出入りし始め、
2年後母が亡くなり、同時に通帳や印鑑証明登録カード、実印、不動産登記情報等、施設からなくなっていました。

相続人である私が預貯金の履歴を金融機関へ申請したところ、母が亡くなった直後、100万がATMで引き出され、生前には総額600万円をATMで30回にわたり引き出しておりました。

犯人は母の甥とすぐにわかりました。

母の甥は5年前にも私の妹の預金口座から3度にわたり61万円を引き出した常習犯です。

更に母名義の自宅マンションに1500万を限度とする債務承認弁済契約に基づく根抵当権が設定され債権者はこれもまた母の甥でした。

そもそも母はすでに入所時からスプーン、ペンすら持てなくなっており文字はかけない状態でした。

母はキャシュカードも作らなかったので印鑑と通帳で引き出していましたので、現金を下ろすときは銀行員が施設に訪問して「渉外払戻請求書」に代筆してもらい現金を受けとっていました。

② 文字のかけない母が契約書にサインすることはできないので調査するとその署名は母の甥の筆跡でした。

親族ですが刑事訴訟法231条2項により

筆跡の証拠書類もあります。告訴可能でしょうか?

宜しくお願いいたします。

 

 
(snowfairy)

 ※敬称略とさせていただきます。

 

【告訴は可能だが、警察は受理しない可能性も】 

まず、ご質問の案件で、母の甥の行為に何らかの犯罪が成立するのかというと、母の通帳又はキャッシュカードを使ってATMで預貯金を引き出したということですので、法的には窃盗罪が成立する可能性があります。

また、母の実印を持ち出し、債務承認弁済契約書に勝手に母の署名押印をしているという点については、実印の持ち出しに窃盗罪が、契約書の偽造に私文書偽造及び同行使罪が成立する可能性があります。

刑法には、親族相盗例という制度があり、親子間や、直系血族等の間では窃盗罪の刑は免除されますが(刑法251条、同244条準用)、今回は、おばと甥という関係ですので、これにはあたりません。

そのため、あなた方相続人が筆跡資料等の証拠資料を持って警察に行けば、亡くなった母に代わって、窃盗罪や私文書偽造罪で告訴することは可能ではあります。

ただ、被害届とは違って、告訴を受理すると、警察に捜査義務が生じることから、警察は、「お母さんはすでに亡くなっているので、当時のお母さんの意思は知りようがない」とか、「まずは被害届で」「民事で解決できないか」などと言って、告訴の受理を避ける可能性も高いです。

【あなたは民事上の不当利得返還請求ができる】

ご質問によると、母の甥が母の介護施設に出入りして、通帳等を持ち出し、ATMで預貯金を引き出していたようです。

そのため、この不正出金については、あなた方相続人が、その相続分に応じて、民事上、不当利得返還請求という形で甥に対して返還を求めることが可能です。

この請求をする場合には、原則として、以下の3点をあなたの方で調査・立証する必要があります。

① 預貯金口座からの多額の出金の存在

② 出金した人はだれか

③ 出金した金員を誰が取得し、何に使ったのか

今回は、取引履歴は取得済みのようであり、甥が出金・取得したことも判明しているようですが、実際に請求をすれば、甥は「全く知らない」とか、「母からもらった」などと言い出すかもしれません。

甥が出金をしていること自体は、甥が通帳やカード等を持っており、ATMで引き出されているという事実から明らかかもしれませんが、母が贈与したというような主張に備えて、母当時の母の意思能力に関する資料(病院のカルテや、介護記録等)も集めておくべきかと思います。

【債務承認弁済契約については、無効を主張する】

また、債務承認弁済契約については、甥が母の実印や印鑑登録カードを勝手に盗み出し、勝手に母の署名押印をしたものであるということを、筆跡等をもとに主張し、契約の無効を理由に根抵当権登記を抹消すべきです。

おそらく、甥はすぐに認めて登記抹消に応じるようなことはないと思われますので、母の相続人であるあなた方としては、甥に対して、根抵当権設定登記の抹消登記請求訴訟をする必要が出てきます。

上記の通り、告訴が受理されるかは警察の対応にもよりますが、民事の請求に関しては、訴訟等の手続きが必要になる場合もありますので、早急に検討されるとよいでしょう。

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