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実例Q&A

借金を残して失踪した父の遺産調査【Q&A №305】

2013年8月12日


 

・相続財産の有無の確認・請求・回収方法

療養中に名義変更された財産が相続財産の対象になるか

<経緯>

昨年実父が他界(住所は滋賀県)

私(東京在住)と弟(6年前他界)と妹(東京都在住)は、両親離婚後母の籍に入っている。

離婚時、父には多額の借金があり、連帯保証人に母がなっていた。離婚成立後、父が失踪、借金は母と私が返済した。

弟の葬儀に父が出席。借金は返済し終えたことと、弟の遺産放棄手続きのため携帯電話に住所・電話番号を登録。

父は離婚後、再婚しており、再婚相手の籍にはいった。

昨年危篤の連絡と、亡くなった旨を電話で現妻から受けたが後、連絡なし。

今年6月にこちらから配達証明郵便で「相続財産目録もしくは、財産の明細が判る書類を写しでよいので書面にて送ってほしい」旨を郵送。

配達記録にて受け取ったことは確認できたが連絡がない。住所しかわからず、電話などの連絡先不明。

父名義の財産について入院中に名義変更された可能性あり。

<希望>

母が入院費用捻出の為、相続財産を明らかにしてもらい、相続分があるなら相続したい。

借金がありマイナスになるなら放棄したい。

わかっているのは、父の再婚相手の現住所のみ。

現妻は、父の電話を使って危篤の連絡をしてきているので、こちらの連絡先しっている。

調査は不可能または、無駄でしょうか。

記載内容  簡単な遺産調査法 借金返済 名寄帳 公正証書遺言 相続放棄期間の伸長

(母子家庭の長女)

【質問を見た感じでは・・・】

質問では、

①離婚成立当時、お父さんには多額の借金があった。

②お父さんは再婚相手の籍に入った(要するにお父さんは苗字を変えた)。

と記載されています。

それだけ見ると、お父さんは借金も自ら返済する能力がなかった、債権者から追及を逃れるために苗字を変えた、という可能性も考えられ、多額の遺産がある見込みは少なく、借金がかなりあるのではないか、という可能性があります。

債務超過の場合には相続放棄の手配をする必要があります。

【簡単な遺産調査方法】

ただ、上記①及び②だけでは、まだ、お父さんの遺産がないとは確定できません。

簡単で費用もそれほどかからない方法としては次のようなものがあります。

①お父さんの住んでいた家屋が自己所有か賃借かを確認します。

この点は建物の登記簿謄本(全部事項証明書)を見て判断するといいでしょう。

自己所有であれば、遺産がある可能性があります。

ただ、その建物に抵当権登記が多数付けられていたり、税金その他の差押えの登記があったりすれば、結局かなりの借金がある、あるいは税金も支払えない状況だということになります。

②居住家屋が賃借の場合には、賃料が高そうな物件かどうかを現地調査やネットを利用して調査するといいでしょう。

高そうな物件であれば、その賃料を払うだけの資力がある⇒遺産がある可能性が高くなります。

③ お父さんが公正証書遺言をしているかどうかを調べるのも一方法です。

これは相続人であれば調べることが可能です(調査方法は、相続コラム「公正証書遺言の検索及び確認について」 参照)。

もし、公正証書遺言をしているのであれば、そのような遺言をする必要のある財産を持っている可能性が高くなります。

【本格的な遺産調査をするときは、相続放棄期間の延長を申請する】

本格的な遺産調査には時間がかかります。

相続放棄の期間は相続開始を知って3ケ月以内という短期間ですので、家庭裁判所に相続放棄期間の伸長願いを出しておく必要があります(この点は、相続コラム「相続放棄期間の伸長」 参照)。

【本格的な遺産調査の方法】

一般的に、遺産の中心は不動産と預貯金や有価証券です。

不動産の調査は名寄帳の取り寄せが必要です(この点の詳細は、相続コラム「名寄帳の取り寄せ」 参照)。

また、被相続人であるお父さんの利用していた金融機関(支店名まで必要)がわかれば、取引履歴を取り寄せ、遺産額を確認するとともに、不正出金がないかどうかを確認するといいでしょう(この点の詳細は、Q&A №98参照)。

【信用情報の調査も必要】

借金の有無や額の調査も必要です。

この点については信用情報機関(JICC・CIC・全銀協など)に問い合わせて確認するとよいでしょう。

このように結局、遺産のうち、資産部分と借金の双方を確認して、相続放棄をするかどうかを判断されるといいでしょう。

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