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実例Q&A

死因贈与と生前の相続放棄【Q&A №257】

2013年3月18日


 

母が亡くなり、遺産分割協議となりました。

10年前に父が亡くなった際に、母は預金の半分と不動産として土地を相続しました。

その時に確約書という題目で、母が子供全員と各々話をし自分が死んだ後の財産を長男へ相続させ、他の子供は母の遺産を放棄するといった内容の文章を作成し承諾捺印してもらっていたのですが、これは遺産分割協議において有効性はあるのでしょうか?

(こまり)



 

 

【生前の相続放棄は無効です】

まず、長男以外の相続人に相続放棄を約束させた点は法律上無効です。

そのため、母が亡くなった後に相続放棄の書面が出されたとしても、他の相続人の相続権がなくなるわけではありません。

もっとも、法律上の効力はないとしても、遺産分割協議の話の際に、その生前放棄の話を持ち出して、その放棄した人に遺産をもらわないように話をするのは、あくまで話し合いですので、なんら差し支えはないですし、放棄した相続人の方が納得する可能性もあります。

しかし、遺産分割協議がまとまらず、調停や裁判になった場合には、生前の相続放棄は認められないことは覚悟されておくといいでしょう。

【死因贈与と解釈する余地はあります】

母が、自分の死後には財産を長男に譲るということを内容として、他の人の相続放棄を求めていたというのであれば、それは母から長男本人に対して財産を贈与すると約束していたと理解する余地があります。

すなわち、母はあなたに、それは贈与者の死亡を理由とする贈与、いわゆる《死因贈与》をしたのであり、念のために他の相続人にその点の了解を取るという意味で相続放棄の意思を明示させたと解釈する余地があります。

この場合、母の死亡とともに財産は長男が譲り受けることになりますので、その意味では母が作成した書面も《死因贈与》効力を持つことになります(ここで、「死因贈与」と「遺贈」は似ていますが若干異なりますのでご注意ください)。

【遺留分減殺の余地はあります】

ただし、全財産を死因贈与した場合、他の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があります。

遺留分とは、遺贈や死因贈与がなされた場合にも、他の相続人に確保される(遺留される)持分であり、被相続人の子であれば本来の相続分の2分の1が遺留分として確保されます。

その結果、母の死因贈与も有効ではありますが、遺留分減殺請求を受ける限度で効力が減殺されることになります。

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