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老舗かばん店「一澤帆布」のお家騒動に見る相続問題(第2回)

2010年1月21日

残された2通の遺言書。偽造されたものかどうか… 大澤photo6【一澤帆布は閉店している】
この正月に知恩院に行ったときに一澤帆布の店の前を通った。
店は閉められており、店の扉には「お知らせ:申し訳ございませんが、当分の間、休業させていただきます」という貼り紙がしてあった。
その閉まっている店から左3軒目には「一澤信三郎帆布」店が営業していた。
ショーウインドウにはあのなつかしい帆布のかばんが飾られている。
寒い日であったにもかかわらず、店の外にも、店の中にもお客さんが入っていた。
一体どういうことになったのだろうか?

【さて、お家騒動の中味は・・】
一澤帆布は個人商店ではなく、「一澤帆布工業株式会社」が正式な名称である。
先代一澤信夫氏の引退後、三男の信三郎氏が社長となって、家業を引き継ぎ、発展させてきたが、長男は銀行に勤めており、店の経営には全く関与していなかったという。
ところで先代は三男らに会社の株式を相続させるという内容の遺言書(最初の遺言という)を書き、弁護士がその遺言書を保管していたようだ。
しかし、先代が死亡した後に、長男が、会社の株式は長男らに相続させるという、全く正反対の遺言書(第2の遺言という)を持ち出した。

第2の遺言が有効であるとすると、それより先に作成された最初の遺言は効力を失うことになる。
株式を相続したものがこの繁盛している店の経営権を握ることになる。
店を実際に切り盛りしてきた三男は当然のことながら第2の遺言に納得しない。
「これは兄貴が勝手に作った、偽造の遺言だ」(と三男は言ったであろう)ということで、長男と三男との間に争いが発生し、当然、2人の間では調整がつかず、裁判沙汰となった。
裁判の主な論点は、「第2の遺言は有効かどうか?」である。
ストレートに言えば、「第2の遺言書は偽造されたものかどうか?」である。
さて、裁判の結果はどのようなものだったか、これについては次回に・・
                                  (2010年1月9日記:R)

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