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実例Q&A

交渉に応じない姉【Q&A767】

2022年6月14日

【質問の要旨】

・40年前に母、13年前に父が他界

・相続人は姉と相談者2名

・遺産は土地、家、現金約200万

・土地と家を相続したい旨を姉に伝えたら、相続放棄すると言われた(録音あり)

・現金は姉が相続するように持ち掛けた

・司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼し、姉に送付したが2か月経っても音沙汰がない

 

①口頭で「相続放棄する」といった場合でも遺産分割の協議は成立しているのか

②連絡をせず、遺産分割協議書に押印しない姉に法的問題があるか

③姉が相続を進めない場合、司法書士に支払った費用を請求できるか

 

 

 

【回答の要旨】

・父が死亡してから13年経過しており、3カ月の期間を経過していることや、家庭裁判所に申述をしていないことから、相続放棄は有効に成立していない

・姉が遺産分割協議書に押印していないことには、法的な問題はない

・司法書士の費用については、相談者が姉と話をして、姉が納得をしなければ支払われることはない

・遺産分協議が成立しない場合、遺産分割調停の申立てに移行するということが考えられる

母が40年前に他界、13年前に父が他界、相続人は姉と私の2名です。

父の遺産は家、土地と現金(約2百万)です。

父の死後、相続登記は出来ていません。

5年前に一人っ子の娘(未婚、同居)が脳出血で倒れ左手足が永久的に麻痺し障がい者になってしまいました。

娘の将来が厳しいと考え、姉に事情を伝えて助けを乞い家、土地を娘のために相続させてもらえないかと手紙を送りました。

しばらくして「相続を放棄する」と姉から電話がありました。ところがその1週間ほど後、姉が「考え直す」と言うので話は頓挫しました。

半年後また姉から電話があり「この前は体も心も不調だった。(改めて)相続を放棄する」と言いました。(録音あり) 

私は司法書士に依頼して進めることを伝え出来上がった不動産の遺産分割協議書を姉に送りましたが連絡しても険悪な対応をするので進展がありません。

半年後司法書士が姉に電話したところ「現金についての遺産分割協議内容がないのでハンコを押せない」というので書類の内容と作り方について伺いを立て、その後3回連絡しましたが2カ月経っても全く応答がなく現在に至っています。(尚、現金は姉が相続するよう持ちかけています。)

娘のために家、土地を相続する良い方法を知りたく宜しくお願いします。

以下の疑問がありますが合わせて教えていただければ幸いです。

1、口頭で「相続を放棄する」といった場合でも遺産分割の協議は成立しているのでしょうか。

2,連絡をせず遺産分割協議書に押印しない姉には法的に問題があるでしょうか。

3,姉がどうしても相続を進めない場合、私が司法書士に支払った費用を姉に請求できるでしょうか。

【ニックネーム】

johnny5

 

【回答】

1.姉の相続放棄は成立しておらず、遺産分割協議もまだ成立していない

1)相続関係

※姉と相談者が相続人であり、法定相続分はそれぞれ2分の1ずつ。

2)相続放棄は有効か?

今回のケースでは、姉が口頭で「相続放棄をする」と言っており、相談者はその言葉を録音しています。

これは民法上の相続放棄として、有効でしょうか。

相続放棄は、自己のために相続があったと知った時から3カ月以内に、家庭裁判所に申述して行わなければなりません。

今回のケースでは、父が死亡してから13年経過しており、3カ月の期間を経過していることや、家庭裁判所に申述をしていないことから、相続放棄は有効に成立していません。

3)遺産分割協議は成立しているか?

姉が「相続放棄をする」と言ったことで、遺産分割協議は成立しているでしょうか。

遺産分割協議書には、相続全員の署名・押印がなければなりません。

今回のケースでは、姉が口頭で「相続放棄をする」と言っており、録音があります。

遺産分割協議は、口頭の協議でも成立しますが、署名押印がない場合、真意に基づいて協議なされたものか確定的ではありません。

今回のケースでも、姉が口頭で「相続放棄をする」と言っており、遺産分割協議が成立している可能性はあります。

ただし、遺産分割協議書に署名・押印がない以上、相談者としては、有効な遺産分割協議の成立を主張することができません。

実際問題として、遺産分割協議書に相続人全員の署名・押印がなければ不動産登記もできません。

2.姉が遺産分割協議書に押印しないことについて

遺産分割協議書に押印をするかどうかは、相続人が自由に決めることができます。

相続人には、遺産分割協議の内容について、

今回のケースで、姉が遺産分割協議書に押印していないことには、法的な問題はありません。

3.司法書士の費用について

司法書士の遺産分割作成費用は、相談者が司法書士と契約をすることで発生しているものです。

法的には、相談者のみが契約者として負担すべきものであり、姉に請求することはできません。

司法書士の費用については、相談者が姉と話をして、姉が納得をしなければ支払われることはありません。

4.今後どうしたらよいか

1)代償金の支払い

相談者の姉は預金が遺産分割の内容となっていないことなどに不満を述べているようです。

ただ、姉は相談者が書類の内容や作り方について、伺いを立てても、2カ月経っても連絡がないという状態になっています。

姉の不満に対し、どのように応えたらよいか問題となります。

今回、不動産については相談者が取得するという方向で話が進んでいますが、本来であれば、相談者と姉は2分の1ずつということになるはずです。

そのため、相談者としては、不動産を取得する代わりに代償金として相当額を支払うことを申し出ることで、遺産分割を公平な内容にすることが考えられます。

2)遺産分割調停

上記提案によっても遺産分協議が成立しない場合、遺産分割調停の申立てに移行するということが考えられます。

ただ、調停も話し合いで解決するための手続であるため、相手方が調停に出てこなかった場合や、折り合いがつかないという場合、調停は成立しません。

その場合、調停不調ということで審判に移行することになります。

審判になると、決定がでるため、結論がでます。

もっとも、審判になった場合、代償金の支払いについて分割で支払うことが認められていないというデメリットがあります。

(弁護士 山本こずえ)

 

 

 

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