【質問の要旨】
【題名】
お墓について
【ご質問内容】
7人兄弟姉妹の長男である父が亡くなりました(母も既死亡、子は自分だけ)
7人兄弟姉妹のうち、2名が亡くなり現在5名。そのうちの1名(叔父)は離婚しています(子供3名)万が一亡くなった際に叔父の子供が相続放棄したとしたら、残りの兄弟姉妹、そして自分にも相続が発生するということでしょうか。相続放棄するつもりですが、子供たちが引き取らないとなった場合、実家である自分のところにいれないといけないのでしょうか。
【ニックネーム】
おか
【回答】
1.叔父の子らが相続放棄をすれば、相談者が相続人となる可能性もある
今回のご相談では、相談者の父が亡くなっておりますが、仮に、父の兄弟である叔父が亡くなり、叔父の子供らが相続放棄した場合に相談者も相続人となるのかということが問題となっています。
まず、相続が発生すると、亡くなった人の負債を含む一切の権利義務を法定相続人が引き継ぐことになります。
今回のケースでは、叔父が亡くなった場合、叔父の子らがまず第1順位の法定相続人になります。
もし、子らが相続放棄をすれば、(存命であれば)次順位の叔父の両親が法定相続人ということになりますが、その両親らも放棄をすれば、叔父の兄弟姉妹が法定相続人となります。
今回のケースでは、相談者の父は叔父より先に亡くなっているので、叔父の子も両親も放棄をすれば、相談者が法定相続人となります。(父は叔父の兄弟ですが、叔父より先に死亡していますので、父に代わり相談者が相続人になります。これを代襲相続といいます)。
なお、相続放棄の期間は、叔父が亡くなり、その子らや両親の全員が放棄をしたことを知ってから3ケ月です。
2.お墓の問題は相続と別個の問題です
相談者は相続放棄すれば、叔父をお墓に入れることを拒否できるかと質問されています。
しかし、相続放棄をするかどうかとお墓に誰をいれるかという問題は実は全く別の問題です。
相続放棄というのは、亡くなった人の財産や負債等の引継ぎを拒否することです。
これに対して、お墓に誰を入れるのかは財産の問題とは関係ありません。
誰をお墓にいれることは財産の問題ではなく、祭祀承継の問題として別個の問題として民法に定められています(末尾の条文をご参照ください)。
ところで、誰を墓に入れるかは墓地使用者(管理者)が決定します。
もし、相談者の父が長男ということで、祭祀承継者として実家のお墓を管理していたのであれば、相談者が次の祭祀承継者として墓地使用者になると考えられますので、相談者自身がお墓に誰を入れるか決めることができるので、叔父を拒否することが可能ということになります。
(祭祀に関する権利の承継)
第897条
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
(弁護士 山本こずえ)