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実例Q&A

★形見は遺産になるのか【Q&A №132】

2012年3月16日


 

叔父が亡くなった祖母の相続で法定額以上の受取りを主張し、母と審判で争っています。

母が精神障害があるので息子の私が代理人になっています。

叔父は生前祖父母と絶縁状態にありましたが、祖父母の死後、勝手に遺産全ての管理を始めました。

母は祖母の形見を欲しがっていますが、叔父は希望通りの遺産分割に同意しなかったことを理由に形見分けを拒否して来ました。

こちらは家の鍵がないため祖父母宅に入ることさえもできない状態が続いています。
 
仕方なく、審判で形見を評価して相続に含めたいこと、形見を評価するために祖父母宅に入りたい旨主張しましたが、叔父が審判後に前向きに検討すると発言し、審判ではそれ以上とりあってもらえませんでした。

祖父母の家と土地は叔父が相続する見込みで、家の中の物は慣例的に家を相続した人の物になると聞きました。

このままでは審判後、形見と引き換えに法外な金額の取引を要求されるるのが目に見えています。

遺産分割には含まれなかった形見等の動産は、法律では誰の物になるのでしょうか。

そもそも祖父母の品物であるはずなのに、叔父が管理しているのが納得できません。

こちらが祖父母宅に出入りできないのも納得ができません。

法的には、叔父が一方的に管理するのは問題ないのでしょうか?形見を受取る方法もアドバイスを頂けるとうれしいです。

できれば審判の中で、形見を受取れる目処をつけたいです。

よろしくお願い致します。


 

【形見は誰のものか】

時計や万年筆など、被相続人が愛用した品物を形見としてもらうことがあります。

これらの形見は動産であり、遺産の一部として相続の対象になり、遺産分割が終了していない段階では、形見を含む全動産は相続人全員の共有になります。

動産が遺産分割の対象とされない場合はどうでしょうか。

このような場合には、動産は《価値がないため分割対象にしなかった》と考えられ、その結果《その動産の存在する家を相続した人が処分することができる》と判断される場合が多いでしょう。

【形見を受取る方法】

〔その1〕

裁判所が審判では遺産分割の対象としない理由は何でしょうか。

形見として欲しい具体的な品物を指定していないのか、あるいは裁判所が形見には値打ちがないということで取り上げなかったのでしょうか。

もしそうなら、たとえば《オメガの腕時計》などと、価値ある品物を特定して請求するというのも一方法です。

〔その2〕

次に、どうしても裁判所が形見をはずして審判するなら、不服申し立てをするということで頑張る方法もあります。

裁判所は不服申し立てされるのは好みませんので、叔父さんを説得する方向で動く可能性もあります。

〔その3〕

その1、その2の方法をとったにも関わらず、形見を遺産分けの対象としない審判が出た後に、形見を分割対象としない審判はおかしいという理由で不服申立をすることも考えられます。

このような不服申立は弁護士に依頼せざるをえませんが、その場合には相手方にも弁護士がつくことが多く、弁護士間で形見を渡すという方向で解決できるかもしれません。

また、不服審判を担当する裁判所で、叔父に《形見は渡したらどうですか》という説得をしてくれることもあり、和解をさせるような方向で動く可能性もあります。

なお、この方向を目指すなら、審判の段階で《形見を遺産分割の対象にしないのは不当である》という主張を書面で詳しく展開し、審判の重要な争点としておくとよいでしょう。

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