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実例Q&A

★月100万円の生活費は特別受益では?【Q&A №198】

2012年9月19日


 

父が亡くなり1年半ほどして母が亡くなりました。

父が亡くなったときに1500万円ほど有った預貯金が残高35万円になってました。

母は姉と同居でしたが高齢の割に元気で亡くなる直前まで介護と言うほどの手間は掛かってませんでした。

姉に通帳の出金の理由を尋ねると「おばあちゃんが自由に使って良いと言った、おばあちゃんの生活費がほとんどだ」との事でした。

一年半で1500万円とは月100万円ほどの生活費なので到底納得できません。

月30万円の生活費としても半分以上特別受益と判断できますでしょうか?

(カネゴン)


【母の意思能力の有無を確認しましょう】

母(祖母)が姉に預金を「自由に使って良い」と言っていたということですが、通常の場合、そのような事実は認めがたいものです。

もし、そのような発言があったとすると、今度は、母の意思能力があったのかが問題となります。

【無断出金ではないか】

当事務所に扱った事件のうち、短期間で多額の金銭が出金されている場合は、そのほとんどが被相続人(質問の場合には母)に無断で出金されたものでした。

姉が、母から「自由に使って良い」と言われた、と言いながら、その使途が母の「生活費がほとんどだ」というのも極めて不自然です。

もし、無断出金の場合、母は姉に対して不当利得返還及び損害賠償の請求ができます。

今回の質問では母が亡くなっています。(仮に相続人があなたと姉の二人だけならば)、あなたはこの返還請求権の2分の1を相続によって取得するので、姉に対して返還を請求することがでいきることになります。

【無断出金かどうかの判断は取引履歴でする】

無断出金かどうかの確認のためには、母の預貯金の取引履歴を金融機関から取寄せすればいいでしょう。

一度に数十万円を超すような預金の払い戻しが度々あれば、ほぼ無断出金とみて間違いないでしょう。

【特別受益について】

なお、もし、姉の生活費として使われている分があった場合で、しかもそれが母の了解を得ていた場合、その生活費分が特別受益になる可能性があります。

ご質問では30万円を超えて姉が消費した金額が特別受益ではないかということですが、仮に姉が生活費として消費した(支援を受けた)金額が毎月10万円程度なら、特別受益とは言えないという審判例もあります。

しかし、それ以上となれば特別受益となる可能性も高いと思います(この点は、Q&A №164をご参照ください)

【弁護士に相談を】

今回のケースは預金額が多額であり、しかも姉がすんなりと返還する可能性は少ないと思われますので、できれば相続に詳しい弁護士に相談され、調査を依頼し、その結果によっては事件を依頼されるといいでしょう。

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