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実例Q&A

不正をした相続人の除外【Q&A №220】

2012年12月17日


 

8年前に父が他界、母はもういません。

痴呆症と足切断のため寝たっきりだった父の預金全てを、兄が自分名義に変えておろしていました。

このことを、1か月前に調べてしりました。

私と姉は、この事を、許す事ができません。

刑事告訴できますか?

又父名義の土地と一緒に、この預貯金の分割できますか。

さらに、違う人の相続もあるのですが、この猫ばば行為をした兄を相続から外す事できますか。

私と姉は、命をかけて戦いたいのです。

 

(のろまのカメ)


【警察の動きはにぶい】

父の生前に、その預金が全部、兄よって引き出されたというケースです。

父が同意していないのなら、兄の行為は詐欺、窃盗又は電子計算機使用詐欺罪、並びに有印私文書偽造、同行使罪などの刑法上の犯罪に該当する可能性があります。

又、父が《同意していても》、認知症の程度がひどく、意思能力を欠くという場合にも同様な犯罪に該当します。

ただ、犯罪に該当するからと言って、警察がその犯罪を取り上げてすぐに捜査をするわけではありません。

警察は、殺人や強盗というような犯罪は優先的に捜査しますが、親子間の問題については動きが極めて鈍いと考えておく必要があるでしょう。

【不当利得として返還請求が可能】

生前に、父の預金を全額引き出していたのであれば、父は兄に対して不当利得あるいは不法行為により、返還請求ができます。

父が死亡した後は、その返還請求権は相続人に相続されますので、あなたは法定相続分だけ、兄に対して返還請求権を持つことになります。

父名義の不動産もあるようですので、家庭裁判所に遺産分割調停を起こして、その中でこの返還請求分を主張することも考えていいでしょう。

ただ、兄がその返還に応じないというのであれば、通常の場合には兄を被告として、引出した分のうち、あなたの相続分の返還請求をするといいでしょう。

ただ、兄が引き出した預金全部を使い切っている場合も考えられます。

その場合、遺産分割調停を先にしていいのか、あるいは訴訟を先にしたほうがいいのか、難しい法律判断があります。

この点については、相続に詳しい弁護士に相談され、そのアドバイスに従うといいでしょう。

【相続人からの除外】

兄を、相続人から除外する方法としては、法律上、《欠格》と《廃除》という2つの制度があります。

《欠格》は、父を殺害した場合や詐欺強迫により遺言を書かせた場合などであり、《廃除》というのは、被相続人(今回は父)自身が遺言や裁判所への申し立てなどをして兄の相続人の地位を否定する制度です。

しかし、今回はおそらく遺言もないでしょうし、どちらの制度も使うことができないと思われます。

【別人の相続は別の問題】

しかし、別の人の相続については、その被相続人についての関係で《欠格》や《廃除》があるかどうかが問題になりますので、今回の父に対する非行等の行動は問題とはならず、兄を相続人から外すことは現段階では不可能です。

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