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実例Q&A

倒産当時の手形と特別受益【Q&A №222】

2012年12月19日


 

特別受益になりますか

平成7年に夫の経営していた会社が倒産しました。

私の父にも多額の借金がありましたが返せませんでした。

自宅マンションも債権者に取られローンだけが残り預金や保険もすべて崩し家財も裁判所から差し押さえられどうにもならない状態でした。

11年別居し先月正式に離婚しました。

20年に父が亡くなりその後母も亡くなりましたが相続は何も進みません。

倒産当時の会社の手形があるらしく私の特別受益にあたるから相殺して相続分はないと言います。 

又遺言書がないのにすべて自分がもらったと預金は勝手に下ろしてしまい隠してしまいました。

預金や不動産はわかる範囲で調べました。さんざん迷惑かけたのに父は私にも財産は分けると言っておりました。

父の不動産業の宅建主任として20ねん以上無償で従事していたからだと思います。

先日相談した弁護士は借金は会社あてでも生活の資本になったと言えるから特別受益になるかもといわれました。

預金も名義が書き換えられていたらだめだと かなりむずかしい事案だと言われ前にすすめません。

 記載内容  倒産 会社手形の交付 特別受益 預金名義の変更

(えべっさん)

 

※今回の質問については、同じ方から2つの質問がきていますが、ほぼ同じ趣旨ですので、今回の回答にまとめております。ご了解ください。

【質問の中でわかりにくい点があります】

今回、問題となるのは誰の遺産なのでしょうか。

おそらく、お父さんの遺産の遺産になると思いますが、ただ、平成7年のご主人の倒産でお父さんも多額の借財をかかえていたということは、お父さんには遺産になるものないということではないでしょうか。

あるいは平成20年にお父さんが死亡されるまでに新たに遺産を形成されたのでしょうか。

このように、今回の質問にはやや不明な点がありますので、的確な回答になっていないかもしれませんが、その点はあらかじめご了解願います。

【会社振り出しの手形と特別受益】

特別受益とは、相続人のうちで、被相続人から生計の資本など特別の利益を受けることを言います。

この場合、遺産分割に際して、わかりやすく言えば特別受益を控除することになります。

ところが今回の質問では、会社発行の手形が特別受益になるとどうかが問題となっています。

このような手形が特別受益になるためには

①会社が法人ではなく、被相続人(お父さん)の経営する個人会社(企業)であること

②その手形が、あなたの生計の資本等の目的であなたに交付されたこと

③その手形が不渡りにならず、あなたが手形金額を受け取ったこと

が必要です。

もし、会社が法人であれば特別受益の問題は出てきませんし、ご主人が経営されていた会社であれば、被相続人からの受益ではないので、これも特別受益の問題にはなりません。

【問題点の整理が必要です】

結局、誰の遺産が問題となっているのでしょうか。

お母さんの遺産が問題とされているのなら、会社とは何の関係もなく、特別受益の問題は発生せず、また、お父さんの遺産が問題となっているのなら、前記のとおりお父さんの個人企業の場合だけが問題となります。

次に、一体、誰が、特別受益などという話をしているのでしょうか。

参考までに言えば、ご主人は相続人ではありませんので、特別受益の話をできる立場にはありません。

【預金の名義変更について】

生前に被相続人の預金名義が書き換えられておれば、それこそ特別受益の可能性があります。

このような場合に、もし、被相続人に無断で書き換えられていたのであれば、書き換えた人に不当利得や不法行為に基づく返還請求が可能です。

名義を書き換えた人が返還に応じないと訴訟等が必要になります。

仮に被相続人の同意で、名義が変更された場合には特別受益の問題となります。

この点も整理のうえ、対応策を考えていく必要があるでしょう。

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