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実例Q&A

内縁の夫が遺産を渡してくれない【Q&A №333】

2013年12月5日


 

母の叔母の死後に生じた事柄についてお尋ねします。

大叔母は先夫が戦死した後、長年内縁関係のパートナーと仲良く暮らしておりましたが、先日90歳余で死去しました。

籍は入れておらず、子どもはいません。遺言もなかったようです。

姪である母によると、パートナーは認知症で入院しており、葬儀などは母やいとこの叔母が取り仕切り、相手側のきょうだいは「内縁関係だから」といった冷淡な態度で文字通り、何もしてくれなかったそうです。お墓に関しても取り付く島がないらしく、お骨は母が預かっています。

問題なのが、大叔母の生前から財産(遺族年金など)はパートナーが管理しており、現在はあちらのきょうだいが「そんなものはない」「叔母さんの入院代に使った」などと言い、叔母固有の財産のことが全く分からないことです。

母やいとこの叔母としてはせめて、「お墓を建てたり、供養をしたりするお金を渡してほしい」と考えています。

私は遠方に住んでおり、話を聞いているだけですが、相手側は、おっしゃるところの内縁関係ゆえにパートナーであっても相続できない遺産を、相続の権利のある母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです。いかがですか。

大叔母の遺産を調べるには、どのような手立てを取れば良いのでしょうか。

大叔父の遺族年金など、少なからず大叔母固有の財産はあると確信しています。

記載内容  内縁 介護費用 不正出金

(きなっしー)

 

【窃盗にはならないが・・】

質問には《母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです》とありますので、この点を先に回答します。

まず、大叔母さんの財産は生前、内縁の夫が管理しておられたようですので、内縁の夫が預かり続けても、大叔母の意思に基づくものであり、窃盗にはなりません。

次に、現在、預かり品を内縁の夫の親族が所持している場合ですが、内縁の夫から保管を依頼されているのなら、権限ある占有者から預かったということで窃盗にはならないでしょう。

ただ、内縁の夫の親族の方が預金を使いこんだようなことがあれば、窃盗ではなく、横領罪等の犯罪が成立する余地があります。

注意するべきことは、仮に横領が成立するような場合であっても、警察に被害届を提出し、又は告訴状を提出しても、警察がすぐに動くことはまずないということも知っておく必要があるでしょう。

【相続人のみが遺産調査をできる】

相続人であれば、遺産の調査が可能です。

そのため、相続人が誰であるかが問題となります。

被相続人である大叔母さんに子供がなく、大叔母さんのご両親も死亡されている場合には、大叔母さんの姉妹であるあなたのお祖母さんが相続人になりますので、お祖母さんが相続調査をすることができます。

又、もしお祖母さんのほうが大叔母より先になくなっているのであれば、お祖母さんの子であるあなたのお母さんが代襲相続人として相続人となりますので、お母さんが相続調査ができることになります。

【相続調査の方法】

あなたのお母さんが相続人だとした場合、あなたのお母さんは遺産を調査することができます。

相続調査については、金融機関及び支店名を特定して預貯金の調査をするのが基本です。

もし大叔母の取り引きしていた金融機関がわからない場合には、遺族年金を支給していた機関(大叔父は戦死されているようですので、軍人恩給の場合には総務省恩給局などの可能性もあります)に問い合わせをするというのも一つの手段でしょう。

金融機関及び支店名がわかれば、その金融機関に「照会の手続きをしたいがどのような書類がいるか」と確認された上で、必要な書類を提出して、取引履歴を開示してもらうとよいでしょう。(詳しくは、Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 を参照ください)。

次に大叔母さんが不動産を所有していなかったかどうかも確認する必要がありますが、この点は市町村に問い合わせをするといいでしょう(相続コラム「名寄帳の取り寄せ」 参照)。

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