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外国で作った遺言書の効力(遺留分減殺は認められるか)【Q&A №363】

2014年4月4日


 

私の親友Aさん(日本在住の日本人。50歳代)はNZ(ニュージーランド)に不動産などを持っており、近くまたNZに行って新たな不動産を購入予定です。

Aさんは、家業の関係もあり、将来遺産の全てを長男Bさん(日本在住の日本人)に相続させたいと考えていますが、他にも相続権者の子どもCさん(日本在住の日本人)がいます。

ある人が「NZには遺留分の制度はないはずだ」とAさんに教えたので、Aさんは今度NZに行くときに、「NZにある遺産は全てBさんにつがせる」という内容の(英文の)遺言状をNZで作ろうかと考えています。(AさんのNZでの資産は、その全ての資産の大部分をしめています。)

しかし、将来Aさんが亡くなった時、NZで作ったそういう内容の有効な遺言書が存在したとして、Cさんが日本の裁判所に遺留分減殺請求をした場合、裁判所はCさんの減殺請求を認めるのではないかと私は思うのですが、正解でしょうか? 正解ではないのでしょうか? どうぞご教示下さい。

記載内容  外国 遺留分減殺請求

(Cajun Chicken)


【はじめに・・・】

この点は《渉外を扱う法律事務所》という分野ですので、詳しくはそれらを得意としている事務所にお聞きください。

ただ、当事務所で理解できる限度で回答をします。

【外国で作成した遺言書の有効性について】

外国で遺言書を作成した場合、その作成した国(今回の質問ではニュージーランド)で有効な遺言書であれば、日本でも有効な遺言書と認められます。

又、その作成した国では遺言書としては有効な方式とは認められない場合であっても、日本の民法で有効な方式で作成されているのであれば、それも有効な遺言書になります。

これらの遺言書の方式の有効性については、末尾の参考条文①を参照ください。

【遺留分減殺請求は認められます】

次に、有効な遺言書がある場合、その遺産分割などはどこの国の法律が適用されるのかという問題があります。

結論から言えば、相続については、被相続人の本国法が適用されます。

これについては、末尾の参考条文②をご参照ください。

そのため、日本人が外国(今回の質問ではニュージーランド)で作った遺言書が有効な場合、その相続関係については日本の民法が適用されます。

従って、遺言書の内容が、他の相続人(質問ではCさん)の遺留分を侵害する場合には、侵害された者(Cさん)は遺留分減殺請求をすることが可能になります。

【日本の判決をニュージーランドで執行できるか・・】

質問では、遺産としてニュージーランドの不動産が含まれていそうです。

そうすると、日本の裁判所で遺留分減殺請求を認める判決が確定した場合、その判決をもってニュージーランドで強制執行できるかという問題が出てきます(日本の裁判所でとった判決がニュージーランドで承認されるのか、あるいは別途手続きを取る必要があるのかということです)。

この点については、当事務所では正確な回答はできません。

このような問題については、渉外事件を扱う法律事務所がありますので、そこに法律相談され、正確な回答を得られることをお勧めします。

参考条文①

【遺言の方式の準拠法に関する法律】
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
(以下略)

参考条文②

【法の適用に関する通則法】
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

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