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実例Q&A

後見人に対する遺留分減殺請求【Q&A №232】

2013年1月29日


 

子供のいない夫婦の遺産相続で痴呆の妻の遺留分について

昨年叔父がなくなり、実の弟であるわたしの父親が司法書士による、預金及び不動産その他一切の財産を与える旨の昨年の十月に公正証書を作り相続することとなりました。

妻である叔母は要介護4で同時に家庭裁判所に成年後見制度を利用し、わたしの父親を後見人とする申請をし、十二月二十四日に審判がくだされ、わたしの父親が後見人となりました。

叔父死亡も二十四日です。司法書士さんが死亡を家庭裁判所に届け出て明日家庭裁判所で講習を受け完了する次第です。

わたしの父親にはほかに五人の兄弟がいますが、遺留分の請求ができないので心配しておりません。

しかし、叔母にも兄弟姉妹がおり、何らかの形で、遺留分の請求をされるかもしれません。

痴呆であるおばの遺留分の取り扱い、注意点を教えていただけないでしょうか。

現在叔母は老人福祉施設で生活しています。

叔父の生前より、わたしの父親が、入院中の叔父に代わり支払い及び面倒をみています。

私たち親子は、叔父叔母に世話になり、大変な恩があり、今後もどんなことがあっても、できる限りのことはするつもりです。

叔母の兄弟姉妹は、会社の倒産等でお金が必要なそうです。

なんとか生活しているようですが、痴呆の叔母を利用して遺留分を請求するすべがあるのでしょうか。

叔母の遺留分は、3/4×1/2だと思います。対抗手段を教えていただければと思います。

叔父と私が腹を割って、家を守ること、叔母の面倒をみること。

そして、祖母の財産わけで喧嘩をし、わたしの父親以外兄弟姉妹には財産をやらない。

そして、叔母の家には、財産をやらない。という意思だけ確認をし、叔父が腹をくくってくれた次第です。

決めては、叔母の通帳から叔父でも郵便局から預金を引き下ろせなかったことが、叔父の決心につながりました。

よろしくおねがいします。

(まろちゃん)

記載内容  成年後見人 利益相反 特別代理人 遺贈


 

【叔母の遺留分が侵害されている】

叔母さんは被相続人の叔父さんの妻ですから、法定相続分は2分の1です。

ところが、遺言により被相続人である叔父さんの遺産は全てあなたのお父さんが取得します。

そのため、叔母さんの遺留分は侵害されていることになります。

侵害された遺留分は、あなたの指摘のとおり、8分の3です。

【後見人としては、叔母さんの遺留分減殺請求をする必要がある】

お父さんは叔母さんの成年後見人ですから、叔母さんのために遺留分減殺請求をするべき義務があります。

成年後見人としては、叔母さんの財産の管理人として、叔母さんの権利を守る義務があるからです。

【特別代理人の選任申立が必要】

ただ、遺留分を侵害しているのは、あなたのお父さんです。

お父さんは、遺留分を侵害された叔母さんの成年後見人でもるわけですから、遺留分について侵害した人である一方、侵害された叔母さんの立場でもあるため、遺留分行使について利害が対立することになります。

そのため、お父さんとしては、裁判所に《遺留分減殺請求をするための特別代理人》の選任を請求する必要があります。

【遺留分減殺請求された後の権利関係・・・他の兄弟との関係】

裁判所により特別代理人が選任された場合、その代理人は遺留分減殺請求をし、遺留分に相当する財産をお父さんに請求することになります。

叔母さんに遺留分相当の財産が戻された場合、その財産は叔母さん独自の財産となりますが、その財産を管理するのは成年後見人であるあなたのお父さんということになります。

したがって、他の兄弟が叔母さんの財産に口出しすることはできません。

成年後見人として、特別代理人選任の手続きをしたうえで、叔母さんにかかる費用は叔母さん自身の財産から支出するというのが取るべき態度でしょう。

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