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実例Q&A

生前贈与と相続時精算課税【Q&A №264】

2013年4月2日


 

 

 

先日、父に援助のお願いをしました。

姉(長女)家族にはこれまで数年に渡り、合計で700万超の援助をしている事は聞いていました。

長女家族ばかりを可愛がる父と、「親が勝手にくれるんだから、ひがまないでね。」とほくそ笑み、節約とは縁のない生活をする姉家族に対して、ずっと沈黙しながら辛酸をなめてきました。

が、私が病気になりこの先仕事を続ける事が難しくなってきました。

住宅ローンや子ども達の教育費の事もあり、恐る恐るお願しました。

本音は、「姉がして貰った分と同じくらいは…」と思うし気持ちと、これから父の財産はいずれ食いつぶされるのではないかという心配もあります。

その前に、私も一度くらい恩恵を受けてもいいのではないかという思いと我慢が、病気を引き金に一気にバケツから溢れ出た感じです。

そこで質問です。

父から、仮に440万の援助を受けるとした場合、私と夫と子ども達二人にそれぞれ110万ずつであれば、贈与税はかからず申告の必要もないのでしょうか。

それともこの際500万程もらえるのなら、相続時精算課税制度?というのを使えば良いのでしょうか。

もしそれを利用したら、万が一父が亡くなった時に、援助を受けた事が姉夫婦に知られてしまいますか?

(辛酸なめ美)



 

【110万円までなら申告義務はありません】

1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下の場合には贈与税は課税されません(基礎控除)し、その場合には申告義務もありません。

今回の贈与の場合、あなたとあなたのご主人、子供2人にそれぞれ110万円ずつの贈与をするというのであれば、4人についていずれも贈与の基礎控除の範囲内ですので、贈与税の課税はありませんし、申告も不要です。

【相続時精算課税も考えられるが・・】 

父の年齢が65歳以上であるなど相続時精算課税の要件を満たすケースであれば、相続時精算課税も可能でしょう。

この制度を利用すると、2500万円までは、贈与時に贈与税の支払いが不要です。

ただ、前項のように4人に110万円ずつを贈与する場合には、そもそも贈与税が非課税ですので、相続時精算課税にする必要は全くありません。

あなたが、440万円の全額を一人でもらう場合には、相続時精算課税を検討してもよいでしょう。

但し、相続時精算課税は、贈与時点で税務署への申告が必要ですので、その分、手続きが面倒になります。

また、将来、父が死亡した場合、その遺産が多額であった場合(現状の税制ですと、総遺産額が≪5000万円+相続人数×1000万円≫を超える場合)には、父の死亡時に相続税の申告が必要になりますが、その際、あなたが相続時精算課税の適用を受けたという事実が明らかになります。

今後、相続税の基礎控除額が減少する可能性もあることも考えると、相続時精算課税ではなく、贈与税の基礎控除枠を活かして、贈与を受けるのが無難でしょう。

なお、金額が多額になるのであれば、数年にわたって贈与税の基礎控除の枠内で贈与を受けるという選択肢も考えるといいでしょう。

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