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実例Q&A

生前贈与の立証について【Q&A №429】

2015年2月16日

 

 

【質問の要旨】

引落しの記録はあるが振り込まれた記録がない場合、贈与か?
相続税の対象か?

【ご質問内容】

贈与を成立させるために振込の記録が必要で、贈与者の口座から引き落としの記録はあるが受領者側に振り込まれた記録がないと相続税の対象にされてしまうという記事を目にしますが

そもそも、だったらお金をもらってはいない

つまり、それが死ぬ10年も前のことで100万円だとしたらどうでしょう。

(dronjo)

 

【今回のご質問は税務面でのご質問ですが…】

今回のご質問は、昔に贈与されたはずの金員が被相続人の財産とみなされて、相続税の対象となるということはあるのか、というような内容であり、税務分野のご質問です。

そのため、ここではわかる限度での回答をさせていただきますが、詳しいお話は、税の専門家である税理士にお聞きになられたほうがよいでしょう。

【贈与税が課税されるかについて】

まず、過去の贈与について、贈与税が課税されるのかについて説明します。

基本的に、贈与があったことは、①贈与契約書と、②実際のお金の動きがわかる資料から明らかになります。

上記の資料により、贈与があったことが明らかであれば、贈与税が課税されます。

ただ、年間110万円以下の贈与であれば、贈与税も課税されません。

また、税務調査の遡及年数は、原則として5年であり、悪質なものであっても7年ですので、それ以前の贈与については、遡って調査され、課税されるということはほぼないといえます。

そのため、ご質問の最後に記載のある、10年前に行われた100万円の贈与については、被相続人から当該受贈者に対する贈与が、1年間にこの100万円のみであれば、年間110万円以下で贈与税の課税対象ではありません。

また、通常、税務署は10年前まで調査を遡ることはありませんので、贈与税が課されることはありません。

【相続税が課税されるかについて】

では、ご質問にあるように、過去に引き出して被相続人の口座からなくなった分が、被相続人の財産として残っているものとして、相続税が課されるということはあるのでしょうか。

まず、税務署としては、被相続人の口座から出金されている以上、出金分を《預貯金として》相続税の課税をすることはできません。

ただ、その出金分が被相続人の手元に残っているのか、贈与等がされたことにより誰か別の人のところへ行ったのか、ということを税務署が調査する可能性はあります。

調査の結果、手元に残っていれば遺産として課税対象にするでしょうし、誰かがもらっていることがわかれば贈与税の課税対象にするでしょう。

税務署としては、できるだけ税金を多くしたいと考えて、はっきりと贈与だという証拠がなければ、出金した金員も被相続人のもとに残っている前提で計算し、課税してくる可能性もあります。

もっとも、上記にも記載しましたとおり、10年前に行われた100万円程度の引出しであれば、10年前まで税務署が遡ることは通常ないと思われます。

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