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実例Q&A

相続放棄した場合の相続財産の行方【Q&A No.740】

2021年12月21日

【質問の要旨】

・父の遺産を、子供二人は相続放棄、母は相続を希望している

・母が相続を希望する理由として、放棄した場合、父の兄弟へ相続がいってしまうことに対しての配慮

・金額は今わかっているのは(財産が)50万円程度

 

①母が相続放棄し、父の兄弟へ相続した結果、放棄できるのか

②兄弟が放棄した場合どうなるのか

②相続または相続放棄に伴う費用はどのくらいか

 

 

 

 

【回答の要旨】

・母が相続放棄しても、父の兄弟も相続放棄できる

・父の兄弟が相続放棄をした場合、父の相続財産は国庫に帰属することになる

・相続放棄をする場合の費用

 (1)自分で手続きをする場合、一般的には3000~5000円程度が目安といえる

 (2)弁護士に依頼する場合、放棄をする人1人につき5万円~10万円程度となる

・相続にともなう費用は、ケースバイケースであり、一概にはいえない

 

【題名】

相続

【ご質問内容】

はじめまして。

相続について相談させていただきます。

父の相続についてですが、子供二人は相続放棄をしようとしていますが、母は相続を希望しています。

理由としては、母が相続放棄した場合、父の兄弟へ相続がいくことに対して迷惑がかかってしまうという配慮からだそうです。

金額としては今わかっているのは50万円程度の相続です。

質問としては、

①母が相続放棄し、父の兄弟へ相続権がいった場合、兄弟も放棄できるのか。父の兄弟が放棄した場合どうなるのか?

①相続または相続放棄に伴う費用はどのくらいか?

お手数ですがよろしくお願いします。

(たむら)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【回答】

1 母が相続放棄しても、父の兄弟も相続放棄できます。

今回、父(以下、「被相続人」といいます。)の相続人は、配偶者と相談者含む子供2人です。

仮に、上記相続人全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人である被相続人の父母がいないため、次々順位の相続人である、兄弟が相続人となります。

この場合、その兄弟らは自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内であれば、相続放棄できます。

被相続人の兄弟が遠く離れた場所に住んでいるなどの事情があれば、相続について知らないということもあるかと思います。

そのような場合は、相続のことを知り、なおかつ相談者の母と子供らが相続放棄をしたことを知った時から3カ月以内であれば、相続放棄できるということになります。

 

2 父の兄弟が相続放棄をした場合、父の相続財産は国庫に帰属することになります。

上記ケースで、被相続人の兄弟も相続放棄をした場合、相続人は誰もいないということになります。

この場合、たとえば、被相続人に債権者などの利害関係人がいれば、相続財産管理人の選任が申し立てられ、相続財産は相続財産法人という形になります。

その後、相続人捜索の公告などが出され、一定期間が確定したのち、相続人の不存在が確定します。

その後は、相続財産管理人が相続財産を国庫に引き継いだ時、相続財産は国庫に帰属するということになります。

 

3 相続または相続放棄にともなう費用

1 相続放棄をする場合の費用

(1)自分で手続きをする場合

自分で相続放棄の手続きをする場合、およそ以下の費用が必要になります。

≪裁判所の手続きで必要な費用≫

相続放棄の申述書に添付する印紙代が800円

郵便切手代500円程度

≪資料収集に必要な費用≫

被相続人の住民票又は戸籍附票300円

被相続人の除籍謄本750円

以上から、2000円~3000円程度が最低限の費用と思われます。

ただし、相続放棄の必要書類はケースバイケースであり、必要書類が多くなれば、取得するための費用も増えるため、一般的には3000~5000円程度が目安といえるでしょう。

 

(2)弁護士に依頼する場合

弁護士に依頼する場合、放棄をする人1人につき5万円~10万円程度となります。

ただし、複数人がまとめて依頼する場合は減額されることもあります。

相続放棄をする前提として、財産調査をしっかりして欲しいということであれば、10万円程度かかります。

実際のところ、財産調査をした結果、相続放棄をしなくてもよく、相続財産を得たというケースはよくあります。

 

2 相続にともなう費用

相続にともなう費用というのはケースバイケースであり、一概にはいえません。

たとえば、金融機関の口座の名義を変えるための費用、不動産登記手続きの費用等が考えられますが、被相続人がいかなる財産を持っているかによっても変わるためです。

被相続人にはあまり財産がなかったというようなケースでは、かかってくる費用も減ってくるものと思われます。

 

 

(弁護士 山本こずえ)

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