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実例Q&A

第三者が支払った保険金掛金と相続放棄【Q&A No.469】

2015年9月29日


 

Bが死亡して、Bの相続人Cが相続を放棄しました。
Cは、Bの生命保険金500万円を受け取りました。
その保険金の掛金約200万円は、BやCではなく、Aが支払いました。
Aは、Cから200万円を請求することはできないでしょうか。

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【ご質問詳細】

債権者Aは、債務者Bの契約した生命保険について特約を結び、当初より死亡時まで保険料約200万円を支払った。

受取人Cは相続放棄後、保険金500万円を死亡日に請求、14日後に受け取った。

Aは保険証券を占有し質権も設定したが、保険会社には通知しなかった。

保険会社には請求できなくとも、受取人から払い込んだ保険料200万円相当額は請求できないか。ご教示ください。(asakatsato2)



【相続放棄と生命保険金の受け取り】

Aは、本来の契約者であるBが支払うべき生命保険契約の掛け金を立替払いしているのですから、AはBに立替えて支払った分の金銭の返還請求ができるはずです。

ところで、Bが死亡すると、Bの法定相続人はBの債務を引き継ぎます。

しかし、相続放棄されると、債務を引き継ぐ人が不在になり、債権者Aはその債務の支払いを求めることができなくなります。

【相続放棄しても生命保険の請求はできる】

生命保険金は遺産ではないというのが裁判所の考え方です。 保険金は、相続とは関係なく、生命保険契約に基づいてCが独自に取得するものですので、受取人Cとしては相続放棄をしても、保険金を受け取ることができます(Cとしては生命保険金を受け取ることはできるが、債務を負わないということになります)。

不当利得ではないかと思われる方もおられるかもしれません。

しかし、Cとしては保険契約に基づき、保険金の受領をする権利を有しており、不当利得にはなりませんので、債権者AにはCに対する返還請求権はありません。

【質権設定の通知等がない場合は打つ手がない】

質権を設定した今回のケースであっても、保険会社に質権設定の通知をしてなかったため、今回はすでに生命保険金が支払われてしまっています。

これによって、質権の目的物(目的債権)であった死亡保険金債権は消滅しています。

したがって、現段階で、質権を受取人に対して主張することはできないという結論になります。

 

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