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実例Q&A

被相続人の死後に錯誤による遺言書の無効を主張できるか?【Q&A818】

2023年5月24日

【質問の要旨】

【質問の要旨】

家族構成:父、義母、相談者

被相続人:父・・・公正証書遺言書で「義母に全財産を相続する」と記載

         生前常々、自分が亡くなったら義母を頼むと言っていた。

【経緯】

①義母に、父が相談者に少しの額でも相続させる意思はなかったのか確認したが、義母は自分が相談者より資産が少ないので、

 それを分かって遺言書を作成してくれたと言われた。

②ところが、義母は父の遺言書作成日の約1か月前に、前夫から多額の慰謝料(相談者の資産を大きく超える額)を貰っていた。

③父が事実認識を間違って遺書書を書いたのではないかと義母に確認したいが、応じてくれない。

 

・事実を知らず(知らされず)に作成された公正証書遺言書を無効にすることは可能か。

・可能な場合、どのような手続きを取ればいいのか。

 

 

【回答】

1 遺言無効の訴えを提起するという方法があります。

 父親の公正証書遺言を相談者と義母との間だけで無効にすることは、義母がそれを受け入れることでいつでも可能です。

 それができないなら、裁判所に訴えて遺言の無効を確認してもらう方法があります。

 その場合には、原則として、遺言無効確認調停を経たうえで、遺言無効確認訴訟を提起するという流れになります。

 

2 父の遺言を無効とするためには立証のハードルが非常に高い

 しかし、裁判で父の遺言の無効を裁判所に認めてもらうためには、遺言をした当時に父親が認識していた事実を立証する必要があります。

 父親はすでに亡くなっているため、父親を証人尋問することはできません。

 相談者が父親から「俺が亡くなったら、義母を頼むね」と言われていたというだけでは、父親のその当時の認識を立証することが極めて困難でしょう。

 

3 残された方法として遺留分侵害額請求がある

 そこで残された方法としては、遺言の有効を前提として、相談者の遺留分を義母に対して請求することができます。

 相談者は父親の遺産について4分の1の遺留分を有しています。

 遺留分の請求の仕方や遺留分額の計算については、法律的な知識が必要ですから、専門家に相談されると良いでしょう。

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