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実例Q&A

認知症の人の遺言【Q&A №451】

2015年7月2日

 

 

【質問のまとめ】

認知症の人の遺言は有効ですか?

毎年遺言書を書いていて複数の遺言書がある場合、どの遺言が有効になりますか?

記載内容  意思能力 認知症 書き換え

【質問詳細】
 

母が毎年6月に遺言書をかいているのですが、内容は「私に全財産を相続させる」という遺言書です。

①2013年6月
②2014年6月
③2015年6月

3通かいてます。

ところが、母は去年8月に認知症の診断を受けました。

この場合、遺言書は有効ですか?(③の遺言書)

認知症の診断がでる前の遺言書は有効ですか?(①②遺言書)

後で、兄弟から文句がでそうなので。

認知症の場合は遺言ができないのでしょうか?

遺言書は私が預かってます。

私としては、母が死亡したら、③の遺言書をだして、無効にされるより、①か②の遺言書を家裁へ出して、検認を受けたいとおもっているのですが、可能でしょうか?

③の遺言書が無効にされた場合、①②の遺言書を家裁へだすことは可能でしょうか?

(aso)

 

【認知症でも程度により遺言が有効となる場合があります】

一口に認知症といっても、現れる症状には、軽い・重いの程度の差があります。

そのため、認知症の方であっても、その症状が軽い方は遺言をすることができます。

どの程度の症状が現れると遺言できなくなるか(遺言能力がなくなるか)については、認知症のテストで有名な長谷川式認知スケール(30点満点)でいえば、10点以下であれば遺言能力がないと判断される可能性が高いようです(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください)。

【無効かどうかの判断は・・】
 

認知症と診断されたから遺言が無効になるわけではありません。
 

診断とは関係なく、認知症で意思能力がないから遺言が無効となるのです。
 

認知症と診断されたが、意思能力あり
 

⇒ 遺言できる認知症との診断はないが、意思能力なし 
 

⇒ 遺言できない
 

意思能力の検査方法としては長谷川式認知スケール以外の方法もありますし、診断書以外の方法(例えば入院の際のカルテに記載された看護師とのやりとりなど)で意思能力の有無が判断されることもあります。

【複数の遺言を検認に持ち込むことも可能です】
 

検認手続きとして、裁判所に複数の遺言書を持ち込むことも可能です。
 

そのため、古い遺言と新しい遺言の双方を検認に出すことも可能ですし、3通あれば3通とも出すことも可能です。
 

遺言は新たに書き換えれば、古い遺言は無効になります(正確に言えば、新しい遺言に矛盾する内容の古い遺言部分は無効になります)。
 

そのため、私(大澤)としては、遺言書が複数あるのだったら、すべて同時に検認に出すのが良いと思います。
 

しかし、特定の遺言書のみを先に出して、その後に他の遺言書を出すことも法的には可能です。
 

ただ、後日、追加で出した場合、他の相続人から《なぜ、先に出さなかったのだ。なぜ、隠していたのだ》という不信感を持たれ、遺産分割がいたずらに紛糾することもあるというマイナス点を考慮に入れておかれるといいでしょう。

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