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実例Q&A

認知症の伯母の多額の預金が引出されたことが相続時に判明した【Q&A №582】

2017年9月20日


【質問の要旨】

窓口出金時の付添人を調べる方法はあるのか?

【ご質問内容】

遠方の伯母が認知症になり、嫁ぎ先の地で数年の療養を経て、半年前に亡くなりました。

相続にあたり銀行に確認したところ、療養中、自分で歩けないにも関わらず誰かが付き添って窓口へ行き預金を引き出していた(8年前)ことがわかりました。

私は時々伯母の様子をみに行っていたのでわかるのですが伯母は多額の現金を使うことなく死亡しており、誰かに騙されて預金を引き出したこと、引き出した現金をその誰かに取られてしまったことを疑っております。

相続人として問い合わせましたが銀行からは預金引出しの状況を教えてもらえず、事件性を考え警察に相談に行きましたが、回答がありません。

誰が現金引出しに付き添ったか知りたいのですが、銀行から書類等見せてもらう方法はないでしょうか?

伯母の亡き夫の親族が伯母の近くに住んでいて入院や施設入所時保証人になっていたのでもしかして伯母は騙されたのではと思うと悔しくてなりません。

以上、宜しくお願い致します。

(太郎)

 

【あなたが伯母の相続人であれば、調査できます】

あなたが伯母の相続人である場合には、他の相続人の同意などはなくても、あなた一人で、被相続人である伯母の預金の取引内容を調査することができます。

かなり昔には、ほとんどの金融機関が相続人全員の同意がない限り、履歴の開示請求には応じませんでした。

しかし、平成21年に最高裁判所で、相続人全員の同意がなくても、被相続人の預金の取引内容を開示しなければならないとの判断をしました。

この裁判例以降、現在は、ほぼ全ての金融機関が単独請求の場合でも、履歴の開示をしています。

【取引内容調査の方法】

まず、取引履歴(その金融機関での入出金、振替等の取引内容がすべて記載された履歴)の開示には、あなたが相続人であることを裏付ける資料(被相続人の除籍謄本、あなた自身の戸籍謄本)とあなたの本人確認資料(運転免許証など)が必要となります。

ただ、金融機関によっては、そのほかに実印や印鑑証明書等がいる場合もありますので、取り寄せる前に必要書類を問合せておくとよいでしょう。

(なお、被相続人の預貯金履歴手続については(Q&A №98Q&A №205ほか参考カテゴリ:「遺産調査」に詳しく記載しているのでご参照ください)

【取引履歴を取得出来たら、使途不明金を絞りこむ】

伯母の金融機関の取引履歴の取り寄せができたら、次に怪しい出金がないかどうかを検討します。

履歴の摘要欄や支払時期などを見ても使途がわからず、他の金融機関に移された形跡もないような出金があれば、それは不正出金の可能性があります。

ただ、生活費の出金もあるかもしれませんから、ある程度、多額の出金に絞るといいでしょう。

【次に出金手続きの確認をする】

取引履歴には、出金方法も記載されている場合が多いと思いますので、それを確認します。

出金が窓口でなされていれば、払戻伝票を取り寄せて筆跡を確認するといいでしょう。

また、ATM出金であればどこのATMが使われたか、伯母は当時ATMを使用できるような状態だったか等を検討していくことになります。

これらの作業をしていく中で、使徒不明金を把握していきます。

【付き添いで来ている本件のような場合は・・】

ただ、今回のケースでは、被相続人が金融機関に行ったが、その際、付添人がいたということです。

そうすると、払戻手続きをしたのは、被相続人の伯母自身であり、払戻伝票の筆跡は伯母の可能性が高いということを考慮しておく必要があるでしょう。

伝票だけでは付添の人が誰であったのか、又、その人が引き出したお金を使ったのかどうかは判明しないことが多いです。

金融機関としては本人が来て、手続きをしている以上、そのお金が誰に渡ったのかなどは、手続き外のことであり、《関知しないこと》という態度をとります。

これらの点を考えると、単なる履歴照会では問題は解決しないと思われます。

【弁護士の知恵を借りるのがいいでしょう】

付添の人が誰であったのか、払戻された金銭は誰に渡ったのか、そのような点まで調査するのはかなりむずかしい作業です。

できれば、早い段階で、相続に詳しい弁護士に相談されるといいと思います。

弁護士は、法律に基づき金融機関等に対して調査することができます。

本件ケースでは、詳細な事情を説明して、弁護士の知恵と能力を使うことを考えられるといいでしょう。

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