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実例Q&A

遺産分割協議に時効はないか?【Q&A №649】

2019年5月28日

 

【質問の要旨】

遺産分割に時効はないか?

【ご質問内容】

7年前に父が亡くなりました

その時に自分の出世の事始めて聞きました

父の父は

T弁護士だったようです

T氏は結婚していて父の母とは不倫で

私の父Sですが認知しました

その後Sの母は終戦後再婚し

Sは姉の養子になりました

T氏が亡くなった時にも連絡はなく

孫である私たちは

財産相続の請求できますか?

もう時効ですか?

※当事務所の判断により質問文中の一部をイニシャルに変えました。ご了解ください。

(おそすぎたかな?)

 ※敬称略とさせていただきます。

 

【遺産分割に時効はない】

法律上、遺産分割を行うのに時効はありません。

当事務所の担当した案件でいえば、大正10年に死亡した人の遺産分割をしたこともあります。

ただ、遺産に属する権利により、請求できない場合もありますので、個別の権利の種類に分けて説明します。

【不動産について】

被相続人の遺産が、被相続人の名義のまま残っている場合には、遺産分割をする必要があります。

相続人の一人が住み続けていても、相続人間では、原則として時効で取得という問題は発生しません。

冒頭に記載した大正時代の相続案件も、名義が被相続人のままであることから、約100年も経過した現時点で遺産分割をすることになったものです。

しかし、例外的に、遺産の土地を、第三者(相続人も含みます)が長年占有しているような場合には、その第三者が時効で取得したと主張することがありますので、この点には注意が必要です。

【預貯金について】

現時点で、被相続人の口座の預貯金残高があることが判明している場合には、それも遺産分割の対象となります

ただ、預貯金などは、一体どの金融機関にあるのかもわからない場合も多く、現実問題として調査ができない場合も多いです。

被相続人が使っていた金融機関が判明しても、取引履歴は遡っても、原則10年程度しか調査できません。

そのため、被相続人の口座や残高が判明しないような場合には、分割の対象となる遺産が不明で遺産分割はできません。

また預金債権自体が消滅時効にかかる場合もあります(平成28年債権法改正前は消滅時効の期間は10年とされていましたが、法改正によって原則として5年短縮されました。)。

結局、預貯金については、現時点で残高があることが判明している以外の分は、ほぼあきらめざるをえないというのが実情です。

【貸付金などの債権】

被相続人が他人に対してお金を貸し付けていた場合、その貸金債権は遺産になり、遺産分割の対象になります。

ただ、この場合も、貸し付けた時期が10年以上も前だとすると、原則として、借りた人が消滅時効を主張して支払いを拒否することができます。

そのため、貸金債権があっても、かなり古い分については、回収できない可能性が高いです。

【古い時期の相続については、結局は不動産のみが遺産分割の対象となる】

以上のとおりであり、古い時期の相続を、現時点でしようとすると、対象はほぼ不動産だけになる可能性が高いです。

なお、被相続人名義の不動産を調べるには、T氏が居住していた自宅などがある市町村に、同氏名義の不動産があるかどうかの問い合わせ(名寄帳の取り寄せ)をするといいでしょう。

もし、不動産が発見されたなら、T氏の相続人が誰なのか、戸籍や除籍謄本を取り寄せし、全相続人が判明すれば、その人たちとの間で遺産分割協議をしていくということになります。

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