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実例Q&A

遺産相続における話合いのでの合意の破棄【Q&A №606】

2018年4月20日


【質問の要旨】

死亡後の不動産賃料の扱いはどうなるのか

【ご質問内容】

2年前に父が他界し、兄と妹の兄弟3人で相続の手続き中です。

3人の話合いの際、実家の2世帯住宅に家賃を払って住んでいた兄夫婦を当座の実家の管理者として住み続けてもらうことに一旦合意したものの、その後話し合いがこじれ、現在、家裁での家事調停中です。

そこで、当初の合意を破棄し、亡くなった父と兄との賃貸契約が継続しているとみなし、父の死後の家賃を遺産分割に反映させたいと考えているのですが、可能でしょうか。

また実家の隣の父が所有していた空地を兄の妻の会社の駐車場として父と賃貸契約を結んでいたのですか、そちらも父の死後も契約が継続しているとみなし、遺産分割に反映させることはできますでしょうか。

 
(John)

 

 ※敬称略とさせていただきます

 

 

【遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃料は相続分で分割する】

今回の質問では、遺産の中には、亡父が、①兄に賃貸していた物件と②兄の妻の会社に賃貸していた物件の2つがあります。

遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃貸物件から上がる収益(賃料)を誰が取得するのかについては最高裁の裁判例(リンク:最一判平成1798)があります。

同裁判例は、賃料をもらう権利は遺産分割とは別であること、遺産分割が完了するまでは、賃料は法定相続人がその法定相続分に応じて取得すると判断し、その後、裁判は全て、この判例に従って判断をしています。

そのため、あなたは今回の上記①及び②の賃料の3分の1をもらう権利がありました(この点はQ&A №593をご参照下さい)。

なお、念のために言えば、この賃料をもらう権利は、あなたが相続人になったことにより、亡父の賃貸人としての地位をあなたも3分の1の限度で引き継いだということから発生するものであり、他の相続人(例えば兄)の同意はなくとも、当然に請求ができます。

【兄に対する請求について】

まず、兄が居住している①の物件ですが、既に賃料は請求しないという《合意》が成立したのであれば、その合意は有効です。

従って、合意が有効である以上は、賃料を請求することはできません。

ただ、合意の内容やその合意した時の状況に応じて、合意が無効だといえる場合があるかもしれませんが、質問にはそのようなことは記載されていません。

もし、そのような状況があるのであれば、一度、お近くの弁護士と法的対処が可能かどうかを相談されるといいでしょう。

上記の方法で合意の効力を争えなくなった場合には次の主張をするしかないでしょう。

つまり、兄の管理負担と賃料負担を比較して、賃料の方が多額でバランスを取れないという場合には、あなたは、賃料の免除という大幅な譲歩をしているのだから、その点を考慮して、兄は遺産分割の取り分を少なくするべきだと主張することになります。

【駐車場の賃料は、遺産分割合意までは請求できる】

前記②の駐車場の賃料については、父死亡後の賃料の3分の1を請求されるといいでしょう。

この請求は遺産分割とは全く別ですので、分割の合意ができなくとも請求可能です。

なお、遺産分割が完了してその駐車場の所有権を相続する人が決定した場合には、その時点以降は、その人が単独で賃料債権を取得することになります。

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