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実例Q&A

遺留分の計算方法【Q&A №166】

2012年6月20日


 遺留分減殺請求について

 私は、異母兄弟の子で相続人は数人います。父(妻はすでに死亡)は今年亡くなり、兄は父が亡くなる7年前に死亡、兄には息子A・B・Cがおり、兄が生前中において、父が息子Aに23年前に家を4000万円で建ててあげ、建てた時点で名義を息子Aにしました。その家の土地は父死亡時まで父名義で無償で息子Aに使用させ、父死亡時遺言に息子Aにあげる旨記載あり、評価額4200万円です。父は息子Aの家での同居は全無しです。
息子Aは、もらい分が相続割分を超えています。

<質問>
 息子Aの家に対し遺留分請求できるか?
 また、遺留分請求割は10分の1だが4000万円に対して10分の1でよいのか、それとも?息子Aは、家の土地に対し無償使用になると思うが、請求額算定方法はどのようになるのか。(更地価格の1割~3割とよく書かれているが使用年数もあり算定方法が不明です。請求額はおおよそいくらになるか教えてください。)
 息子B(死亡)の嫁が父と養子縁組をしており、養子縁組後、生前に現金をもらっています。相続遺言書には名前は記載されていません。もらい分は相続割分を超えていませんがその者の現金に対して遺留分請求は出来ますか?
 ちなみに、「遺留分減殺請求書」は内容証明書にて提出済みです。
 お忙しい所済みません、よろしくお願いいたします。

記載内容  無償使用 養子縁組 建築資金

(べる)


【遺留分は遺産総額の10分の1です】
 ご質問にはご兄弟の人数が記載されていませんが、もし5人であれば遺留分割合は10分の1です。
 遺留分は《遺産総額×遺留分割合》によって計算されます。
 あなたが相続できる遺産がこの額より少ないと遺留分が侵害されたことになり、遺留分の減殺請求ができます。

【息子Aに対する建築資金は遺留減殺の対象になる】
 遺留分の計算の前提となる遺産は死亡時の財産だけではなく、相続開始1年前までの贈与も含まれます。
 又、裁判所の見解では、共同相続人であればそれ以前の贈与も遺産に含まれるものとして扱われます。
 息子Aさんは、代襲相続で共同相続人になりますので、23年も前の建築資金の贈与も原則として遺留分算定の遺産の中に入るものと思われます。
 (但し、Aさんのお父さんが生きていた場合には、Aさんは相続人ではないため、その生前贈与を受けた分は遺産に含まれないということになります。代襲相続をしたから生前贈与分が遺産に組み入れるというのはおかしいのでは・・という考えもあります)。

【土地の遺贈は減殺の対象になる】
 遺言によるAさんへの遺贈は遺留分計算の前提となる遺産に入ります。
 そのため、遺留分の侵害があるなら、まず、これが最初に減殺の対象になります。

【土地の無償使用分も減殺の対象にはなる】
 Aさんは土地を無償で使用する権利を得ています。
 Aさんが代襲により共同相続人になったのですから、この無償使用できる権利を設定してもらったことも生前贈与と同様に扱われることになります。
 そのため、この権利の価額が遺産に組み入れられることになります。
 なお、この無償使用の価額については確実な算定式というものはありません。
 土地の価額算定の専門家は不動産鑑定士ですが、仮に3人に鑑定を依頼しても、その価額が一致するということはないでしょう。
 権利の存続期間や使用状態等を総合的に判断して、最終的には裁判所の判断で決定されることになります。

【息子B(死亡)の嫁のもらった生前贈与に対する減殺請求】
 息子B(死亡)のお嫁さんはお父さんと養子縁組をしているので、共同相続人です。
 そのため1年以上前の贈与でも遺産計算に組み入れられます。
 ただ、減殺は遺贈から先に行われますし、そのお嫁さんの《もらい分は相続割分を超えていません》というのですから、減殺の対象になることはないでしょう。

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