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実例Q&A

養子縁組をしていない義母の相続について【Q&A784】

2022年10月17日

【質問の要旨】

・義母(相談者の父の後妻)が亡くなった

・父が亡くなった時、家などの名義はすべて義母に変えていたが、相談者はそれらの不動産を相続できると思っていた。

・しかし、義母と相談者は養子縁組をしておらず、義母の実子3人が全て相続するという連絡が弁護士からきた。

・義母の入院費用、葬儀費用などは面倒をみていた弟がすべて支払っており、義母の面倒も見ず、何十年も離れて暮らしていた子供たちに父の遺産がいくのが納得できない。

・何かできることはないか。

 

 

 

【回答の要旨】

・義母の相続について、相続権を主張することはできない。

・義母が生前に相談者の弟に立替えてもらっている費用については、実子3人に請求することが考えられる。

・父の遺産分割協議において、不遺産分割協議書を作成しているのであれば、

 不動産の取得を争うことも難しいと考えられる。

現在、60歳の男性です。

義母が亡くなりました。

 

父が亡くなった時、家などの名義は

すべて義母に変えており、義母が

亡くなった際、私たち兄弟が当然、相続

するものと思っていたのですが

会社を経営していた父親の弁護士から

私たちが養子縁組をしておらず

遺産がもらえないと言われました。

 

色々と調べたところ、義母は何度も結婚をしており

亡くなった父も、その事を知りませんでした。

何度目かの結婚時にいた子供3人がおり

父の財産は全て、その子供たちへいって

しまいそうなのですが(当然、面識はありません)

入院費用、葬儀費用など、近く住んでいて

面倒を見ていた弟がすべて支払ってました。

また、義母が住んでいた家も、現在は

私たちが入る事が出来ずにおり

書類などを探す事も出来ずにいます。

父の株券などもあります。

 

私たち兄弟には遺産を受け継ぐ

義務はこのままでは無さそうなのですが、

何か策はないものでしょうか?

義母の面倒も見ず、何十年も離れて暮らしていた

子供たちに父の遺産がいくのが

どうしても納得出来ません。

宜しくお願い致します。

【ニックネーム】

 タッキー

 

【回答】

・相続関係

・義母の相続について、相続権を主張することはできない

今回の相談では、相談者の父の後妻(義母)の相続が問題となっておりますが、この点については、相談者が義母と養子縁組をしていないため、相談者は法定相続人にあたらず、相続をすることはできません。

ただ、相続人でなくとも、義母が遺言書で相談者に遺産を残していれば、財産を取得することも考えられます。

  念のため、義母が遺言書を残していないか、探してみるとよいと思います。(ただ、自宅には立ち入ることができないようなので、難しいかもしれま  せん。)

公正証書遺言の場合であれば、公証役場の遺言検索システムを使って探すことができます。 

・入院費用、葬儀費用について

義母の生前の入院費用など、義母が生前に相談者の弟さんに立替えてもらっている費用については、義母が生前に負っている立替金債務ということになります。

そうすると、義母の相続人である実子3人が相続により上記債務を3分の1ずつ負担するということになります。

そのため、入院費用など、義母の生前に立て替えた費用については、実子3人に請求することが考えられます。

もっとも、葬儀費用については、義母が亡くなった後に発生する費用なので、請求するための法的根拠はありません。

ただ、実務上は、葬儀費用については、葬儀に参加した人たちの間で負担すべきであるという考え方が一般的ですが、請求すること自体は自由なので、請求してみてもよいかもしれません。

・父の遺産分割調停による解決の可能性について

1)不動産について

今回の相談では、義母の相続財産中にある不動産のうち、父が亡くなった際に、父名義から義母名義へ変更した不動産を相談者らが取得できないかが問題となっています。

この点については、父の相続について、相談者が義母を相続できる前提で遺産分割協議を行っており、遺産分割協議の成立に錯誤があったとして、遺産分割協議の取消しとやり直しを求めることが考えられます。

もっとも、相談者が義母と養子縁組しているかどうかについては、自分の戸籍を確かめれば簡単にわかることなので、「義母と養子縁組をしていないことを知らなかった」という主張はとおりません。

また、「養子縁組をしていなければ、子どもとして相続できないことを知らなかった」という法律を知らなかった旨の主張をしても、認められないのが通常です。

今回のケースでは、実際に父から義母へ名義変更していることからすると、既に遺産分割協議書の作成がされている可能性も高いです。

もし、遺産分割協議書を作成しているのであれば、実印や印鑑証明書もつけているため、協議内容を十分に検討した上で遺産分割協議書に署名・押印をしていると判断されます。

以上からすると、父の遺産分割協議において、不動産の取得を争うことも難しいと考えられます。

 2)不動産以外の財産について

ただ、父が亡くなった際に、遺産分割協議をしているとしても、不動産以外の財産で、たとえば、株式など、遺産分割が済んでいない財産もあるかもしれません。

その場合は、分割の済んでいない財産は、父が亡くなった際に、2分の1が義母へ相続されて、さらに、義母が亡くなった際は3人の子どもが6分の1ずつ相続していることになります。

そうすると、分割の済んでいない財産については相談者と弟さんの兄弟が4分の1ずつ、義母の実子3人らが6分の1ずつ共有しているということになります。

そのため、この状態を解消して、きちんと遺産分割をするのであれば、まずは実子3人と話し合いを行い、話し合いで解決しなければ、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てるということになります。

遺産の調査や、交渉も必要になってくるため、できれば弁護士に依頼した方がよいでしょう。

(弁護士 山本こずえ)

 

 

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