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実例Q&A

ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのか【Q&A №148】

2012年5月9日


 

兄が死亡し、ゆうちょ銀行に凍結されている貯金が500万円あります。

両親も死亡しており相続人は私と妹(海外居住)です。

現在葬儀・墓建立費用を210万円立替ています。

墓は現在両親が親戚の墓に入っていますが、兄の納骨も拒否され両親のお骨も出してくれといわれ、やむを得なく建立しました。

妹が忙しい事を理由に手続きが進まないので、立替分を必要経費として認めてもらって貯金から引き出し、残りの自分の分の相続手続きをしたいのですが、裁判所を通してどのような手続きをしたらよいでしょうか?

記載内容  遺産分割 預金債権 定額貯金 ゆうちょ銀行

(チョコ)


【相続法の改正を反映した回答にしています】

 遺産の中にある金銭債権の扱いについては、相続開始と同時に分割債権として各相続人のものになるため、遺産分割の対象とならないとされていました。

しかし、2016年12月の最高裁判例により扱いが変更され、預貯金債権は遺産分割の対象となると判例変更され、その後、2019年7月に施行された相続法改正では前記判例の趣旨の方向で条文化されました。

そのため、新たに回答を作り直しております。

【従来の扱い】

 前項に記載した最高裁判例が出るまでは、預貯金債権は金銭債権であり、相続と同時に法定相続人に分割して相続されるとされていました。

そのため、従来の扱いでは(法律的には)各相続人は、各預貯金について相続分に応じて分割された預金額の支払いを求めることができました。

ただ、(実際の扱いとしては)金融機関は相続人全員の合意で代表相続人を決めてくれということが多く、払い戻しに応じませんでした。

そのため、各相続人としては訴訟を提起して、判決あるいは訴訟上の和解という形で相続分に応じた預貯金の支払いを実現していました。

 【相続法改正の扱い】

ただ、前記の最高裁判例及びその後の相続法改正で、遺産である預貯金債権は各法定相続人で独自に請求できなくなりました。

なお、相続発生の時に金銭がいる事態も考えられるために、改正法では(一つの金融機関につき)金150万円の限度で預金の払い戻しが可能になりました(条文は末記のとおりです)。

そのため、預貯金債権を金銭として受け取ることができるのは、遺産分割の合意後になります。

妹が遺産の分割協議に応じないのなら、あなたとしては遺産分割調停を申し立てて、預貯金債権の分割を求める必要があります。

 【墓の建立費用の扱い】

葬儀費用は死後に発生する費用であり、かつ、祭祀の承継者が負担するものであることから、相続債務ではないとされています。

そのため、遺産から葬儀費用を控除することは、当然にはできません。

ただ、葬儀が被相続人の社会的地位にふさわしい程度の金額であり、かつ、他の相続人の葬儀に出席していたのなら、遺産分割調停などで、葬儀費用を負担させる方向での解決をしています。

次に、相続開始後の墓の建立費用も相続債務ではなく、その費用は祭祀の承継者であるあなたが負担することになります。

この費用については、妹が予めその建立及び金額を了解していない限り請求をすることはむずかしいでしょう。

 【結局、遺産分割調停をするしかない】

以上のとおりであり、妹との間で遺産分割の合意が難しい案件のようですので、遺産分割調停を申し立てるしかないと思います。

あなたとしては、調停の際に、葬儀や墓建立の必要性を主張し、調停委員を通じて妹を説得してもらうしかないと思います。

 

民法(改正後)

第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

 

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