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実例Q&A

父が横取りした祖父の預金と遺留分計算【Q&A №425】

2015年1月21日

 

 

8年前、母方の祖父が亡くなりましたが、亡くなる迄の10年間、母ひとりで介護をしておりました。祖父には、母を含めて、長男、長女と3人の子どもがいます(祖母は20年前に他界)。

祖父が存命中(軽度の認知症があり施設に入所中)、父が祖父の預金に目を付け、自宅の新築に600万をつぎ込み、さらに、700万円の預金も母ではなく父名義に変更してしまいました。

母の姉、弟との協議もなく母に詰め寄り、新居の建築費に流用・預金の名義変更をしてしまいました(結果として、母がそれを許してしまった)。

叔母、叔父はこのことを知りません。

祖父の死亡時には、残りの預金(祖父の入所費用預金)で母の姉、弟に200万円ずつ分け与えた次第です(少しでも姉弟に分けてやりたいという思いですが、母の取り分は100万円程度)。

母はこのことで壮絶な苦しみを感じておりましたが、現在、意識がない状態で入院中です。

この1300万円は、本来、母を含めた姉弟のものではないのでしょうか?また、母が私に生前分与としてこの100万円をもらいましたが、この100万円について、父が「祖父の墓じまいのための金額であり、すぐに返却しろ。お前のせいで墓じまいができない。」と返却を迫ってきますが、祖父の墓じまいの費用は、父が横取りした700万円の中でまかなうことになっていると母から聞かされていました。

父に返却すると、自分のものにしてしまう可能性がありますが、この100万円は返却しないといけないのでしょうか?

また、父が横取りした1300万円を母のものにしてやることはできないでしょうか?

記載内容  横取り 祖父 預金

(キノコ狩り)

 

【お祖父さんの意志を無視したのであれば返還請求ができる】

お父さんが1300万円の預金の引き出しを、被相続人であるお祖父さんに無断でしたのであれば、お祖父さんの法定相続人であるお母さんとしては法定相続分が3分の1ですので、不当利得または不法行為に基づき433万円の返還請求ができます。

【お祖父さんが認めたのであれが、返還請求はできない】

いろいろな事情があるにしても、お祖父さんが最終的に贈与を了解したのであれば、贈与は有効であり、お祖父さんとしては返還請求できる余地はありません。

お祖父さんが返還請求できないのですから、相続人であるお母さんとしても、お父さんに返還請求ができないことになります。

【遺留分減殺請求ができるかもしれない】

ただ、民法には、法定相続人に、最低限度の取り分の遺産(遺留分)を渡そうという制度があります。

これを使うと、本来の法定相続分の半分(お母さんの場合には6分の1)の限度で遺産を取り戻すことができます。

ただ、遺留分減殺請求が認められるためには

①お父さんに対する生前贈与によりお母さんの遺留分が侵害されていること

②相続開始から1年を超える場合には、生前贈与の双方の当事者が「遺留分権利者に損害を加えることを知って」いたこと

が必要です(末記の民法の条文を参照ください)。

上記①の要件については、質問からは、被相続人の預金としてはお父さんが使用した1300万円の他にどのような遺産があったのかがわかりませんが、仮に、他の預金が500万円だけであり、それ以外には遺産がなかったのであれば、次の通りの計算でお母さんの遺留分は300万円となります。

計算式:(みなし)遺産総額・・1800万円(=1300万円+500万円)÷6=300万円

※注:生前贈与分は遺産に組み入れて遺留分計算をします。

お母さんが100万円もらっているとすると、遺留分は差額の200万円になり、この分の限度で。お母さんの遺留分が侵害されていることになり、お父さんから返還してもらえる権利があるということになります。

上記②の要件については、お父さんが贈与を受けたのは1年より前のようですので、その贈与の時点で遺留分権利者に損害を加えることを知っていたという事実が必要になります。

当時、被相続人の遺産として、前記1800万円しかなかったということを、お父さんらが知っていたのであれば遺留分減殺請求が認められることになります。

【お母さんからあなたへの100万円の贈与の返還は必要ない】

お母さんから受け取った生前贈与の100万円ですが、お母さんからの贈与ですので、あなたがお父さんに返還する必要はありません。

お父さんが墓じまいのために必要だと主張しても、それはあなたに言うべきことではなく、お母さんにいうべきことです。お母さんとしては既に支払った1300万円で処理するようにお父さんに反論するとよいでしょう。

《参考条文》

民法 第1030条 (遺留分の算定)

贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

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