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実例Q&A

遺言書で遺贈を記した銀行口座について【Q&A №638】

2019年2月19日

 


【質問の要旨】

遺贈された口座にお金を移した場合

【ご質問内容】

被相続人Aが、遺言書で相続人Bに遺贈を記したA名義の銀行口座があります。

 
Aが生前中に、Bが当該口座にA名義のの別口座からお金を移していた口座記録が有ります。
 
(Aが逝去後、遺贈を受ける銀行口座の相続金額を増やそうとしていたと推定されます)
 
このような場合は、他の相続人がBの不法行為として損害賠償請求するのは可能でしょうか?
 
ご教示お願い致します。
 

(天の声)

 ※敬称略とさせていただきます。

 

【不法行為は成立しない可能性が高い】

不法行為は損害を受けた時に、その被害者が加害者に損害の賠償を求めるものです。

今回の、被相続人Aの口座間の金銭の移動の場合について考えます。

この場合、被害者がAだとすると、Aは、自分の口座間で財産の移動があったことは間違いないのですが、それだけで、金銭的な損害を受けていません。

そのため、損害がなく、不法行為にはならない可能性が高いでしょう。

次に、他の相続人(例えば、あなた)の立場に立てば、Bの行為であなたがもらう額は減少するかもしれません。

しかし、その行為の時点では、あなたは将来、相続を受ける立場(推定相続人)ではあっても、未だ、具体的な相続権は発生しておらず、損害はないといわざるをえません。

そのため、あなたに対する不法行為も成立はしないと判断されます。

【あなたはどういう方針で対処するべきか】

あなたがこの問題に関与できるのは、Aが死亡した後です。

その時点では、あなたは相続人になっていますし、Bの行為によりあなたのもらう額が減額されているとしましょう。

このような場合のあなたの対処方針ですが、《Bのした口座間移動はAの意思に基づかないものであり、無効である》という点で、Bを攻めるといいでしょう。

口座間移動が無効とした場合、Bはその口座間移動で移った増額分を取得できないはずです。

その法的構成をどうするかは、やや難しい面があるので、相続に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。

その際は、口座間の金銭の移動の手続きをBがしたという証拠も必要です。

口座の送金の依頼書がBの筆跡なのか、また、その際、BがAの意思に反してそのような行動をしたという証拠があるのか、それらもきっちりと押さえておくといいでしょう。

いずれにせよ、弁護士に相談され、法的構成、立証方法等を綿密に協議されるのがいい案件だと思います。

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