事務所での
無料相談

閉じる

Q&A検索

閉じる

メール
無料相談

閉じる

実例Q&A

養子縁組で相続関係はどう変わるのか。【Q&A №345】

2014年2月13日


 

【質問の要旨】

・祖母と亡父は養子縁組をした

・養子縁組は相談者と弟が生まれた後にされた

・祖母が亡くなったことにより、税務署から亡父の代襲相続人であると言われたが、家裁は相続人ではないという(母は相続放棄をした)

・税務署にどのように通告したらよいか?

【ご質問内容】

昨年4月に祖母が亡くなりました。

相続人としては実子2人(私の母・叔母(妹))と養子(私の父:婿養子のため養子縁組しておりました。)の計3人になると思います。

祖母は負の財産があり、私の母は相続放棄しました。叔母も放棄する予定です。父は既に他界しております。

この前、税務署から連絡があり、私と弟が相続人であるから、相続する意志があるのかを聞かせて欲しいとの事でした。

私の母が相続放棄しているので、その子(祖母にとっての孫)の私達には相続の権利はないと思っていたのですが、税務署の言い分は私と弟は亡くなった父の代償相続人だという事でした。

家庭裁判所に問い合わせると、父の養子縁組より前に出生している私と弟は代償相続人にはなり得ないと返答を頂きました。

(放棄手続きについても、相続権がないのだから放棄の手続きをとっても受理されないだろうとも言われました。)  

その旨を税務署に伝えると、祖母と血の繋がりがあるだとか、放棄しない・できないのであれば相続を承認したとみなすと一方的に告げられて非常に困っています。

そもそも私と弟に相続権があるのか(当然あっても放棄します)、またもし相続権がないのであれば税務署にどのような形で通告すればよいのか、アドバイスを頂ければ幸いです。

宜しくお願い致します。

(無礼な税務署職員)



 

【結論から言えば、家庭裁判所の見解が正しい】

結論から申し上げますと、家庭裁判所の見解が正しいです。

税務署にも納得して頂ける内容にするため、民法の条文と文献、判例を記載した回答にしました。

難しいかもしれませんが、ご理解ください。

【子の代襲相続に関する民法の規定】

相続関係は民法で定められていますが、代襲相続については次のような条文となっています。

民法887条2項
 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡し・・(中略)・・たときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない

この条文の意味は、被相続人(質問では《祖母》、以下、Aとします。)が死亡した時点で、その子(質問では父。以下、Bとします)がAより先に死亡している場合には、Bの子(質問ではあなた方。以下、Cらとします)が代襲相続人になるという原則を掲げています。

ただ、その原則には例外があり、CらがAの直系卑属でない場合には代襲できない(CらはAの代襲相続人にならない)ということも定めています。

【被相続人の直系卑属であるかどうかで代襲相続が決まる】

上記のように、代襲相続が発生するためにはCらがAの直系卑属であることが必要です。

果たして、CらはAの直系卑属にあたるのかどうか?

言い方を変えれば、養子縁組では、子であるBだけがAの親族(直系卑属)になるのか、それともBの子であるCらもまとめてAの親族(直系卑属)になるのかどうか?

【養子縁組前の子は直系卑属にならない】

養子縁組前に生まれた養子の子が被相続人の直系卑属になるかどうかという点については、養子縁組前に生まれた養子の子は、被相続人との間で血族関係をもたない、すなわち直系卑属にならないということが、戦前からの確定した裁判例です(大審院判決昭和19年6月22日民集23巻371頁等)。

【養子縁組前の子は代襲相続しない】

以上のとおりであり、結局、あなた方は養子縁組前の子であるので、被相続人の直系卑属にはなりません。
そのため、民法第887条2項の但書の適用によりあなた方は被相続人である祖母の相続人にはなりませんので、家庭裁判所の説明が正しいということになります。

参考までに言えば、冒頭部分に記載した民法887条2項の但書(上記のマーカー部分)は昭和37年の民法改正で新設されたものですが、この条文については「もっぱら養子の縁組前の子を相続から除く」目的で定められたものと言われています(参考文献:有斐閣『新版 注釈民法(26)』247頁6行目以下。図書館などでこの本を探してご確認ください)。

税務署にはこの回答を印刷してお見せするといいでしょう。

※なお、この質問の回答後に当事務所で裁判例を確認したところ、似たようなケースで代襲を認めた判決(大阪高裁平成元年8月10日判決)を発見しました。

本件質問とは若干、前提事実が異なりますが、参考資料として検討されるといいでしょう。

「相続人の範囲     相続人が誰かわからない」に関するオススメQ&A