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実例Q&A

叔父による無断解約と不当利得【Q&A №671】

2020年1月14日

【質問の要旨】

・祖母は現在施設に入所中。相談者がキーパーソンとなったが、以前同居していた叔父夫婦が頻繁に不正出金していた。

・年金の引き出し、死亡保険の解約、定期預金解約、100万円の取り込みなどがあった。

・祖母のお金から毎月10万円を叔父に振り込むようにいわれた。払う必要はあるか?

 

 

 

【回答の要旨】

・祖母の口座からの出金は無断で祖母のために使われていないのなら返還請求できる

・保険の解約返戻金を叔父が取得したなら返還請求できるし、贈与なら遺産に持ち戻しができる

・定期預金を解約したお金を叔父が取得した場合、無断なら返還請求できる

・叔母が受け取った100万円の出金は無断なら返還請求できる

・同居していた時の慰謝料を支払う必要はない

【ご質問内容】

祖母は元々、父の兄夫婦と一緒に暮らしておりました。

今は、老人ホームへ入っています

老人ホームに入ってからは私がキーパーソンとなり身の回りのことをやっていますがそこで疑問があります。

◎叔父から預かった祖母の年金が振り込まれる通帳を見ると、年金が振り込まれた当日か翌日には全額が引き出されていました。叔父の話では2ヶ月で十万の生活費をもらっていると言う事でしたが全額

◎祖母は死亡保険を毎月2万払っていましたが、その保険を叔父は独断に解約していました。計算してみると数百万です

◎定期のお金があり、叔父が祖母の定期を解約したと話していたのですが、叔父がしてもいいものなのでしょうか??そのお金も祖母のお金に振り込まれた形跡はありません。

◎祖母の通帳を私達に渡す時叔母が結婚前に貯めた貯金がなくなってしまったからと祖母のお金から100万円もらったと言っていましたが、叔父の独断でもらっていいものなのですか??

◎叔母の結婚前のお金と言っても今から40年以上も前の話で家も2回も立て直してたらお金はなくて当然だと思うのですが。

◎通帳を私達に、渡す時、毎月約10万のお金を叔父に振り込むように言われました。
同居してた時の慰謝料だと話していますが、払う必要はありますか??

私がキーパーソンとなってからは、叔父家族は全く祖母に関わらなくなり、そんな叔父家族にお金だけ取られる事に疑問を感じています。

(やま)


 ※敬称略とさせていただきます。

 

【祖母の口座からの出金は無断で祖母のために使われていないのなら返還請求できる】

まず、祖母との同居時、年金が振り込まれるたびに年金分が引き出されていたとの点ですが、これを叔父が無断でしたのであれば、不正出金として、祖母から叔父に対して返還請求をすることができる可能性があります。

返還請求できるためには、

① 叔父が祖母に無断で出金したこと

② 叔父が出金した金員を取り込んだこと

を証明することが必要です。
ただ、同居している者が出金してはいるが、その額が多額でなく、祖母の生活費のために使用していたような場合には、祖母のために使われたものとして、②の要件を満たさず、返還請求ができません。

ご質問には、叔父が「2か月に10万円程度」もらっていたとの記載もあります。

祖母のもらう年金の中から、その一部である月5万円を叔父に渡していたというのであれば、それに祖母が同意していれば、叔父の生活費の補助あるいは同居して祖母の面倒を見たお礼の意味合いもあり、返還を請求をすることは難しいでしょう。

ただ、年金額がかなり多額であり、生活費を大幅に上回っている場合に叔父がその全額を出金して行方不明であれば、祖母が同意していないことを条件として、叔父の取り込みとして返還請求が可能になります。

【保険の解約返戻金を叔父が取得したなら返還請求できるし、贈与なら遺産に持ち戻しができる】

次に、祖母の保険契約を解約することができるのは、契約の当事者である祖母だけです。

そのため、叔父が独断で、祖母の保険を無断で解約したのであれば当然、解約の効果はなく、無効です。

ただ、保険解約には、本人の署名又は祖母から実印付きの委任状を保険会社に提出する必要があります。

本件においても、祖母の署名及び実印付きの委任状が保険会社に提出されているものと思われます。

そのため、保険会社にどのような書類が提出されたのかを確認する必要があります。

祖母の筆跡で叔父に委任状を渡している書類が存在する場合には、祖母の同意があったと判断される可能性が高いでしょう。

同意があったと判断される場合でも、解約返戻金は祖母が受け取るべきものですので、叔父がその解約返戻金を祖母に無断で取得していた場合には、不当利得となり、祖母は叔父に対して返還請求ができます。

なお、祖母が、叔父が出金・使用することを同意していた場合には、その分は生前贈与であり、「特別受益」として、遺産分割の際に遺産に持ちもどされ、叔父が遺産の先払いを受けたものとして扱われることを知っておくといいでしょう。(リンク:Q&A №334をご参照ください。)

【定期預金を解約したお金を叔父が取得した場合、無断なら返還請求できる】

定期預金についても、基本的には保険と同じです。

叔父が祖母に代わって解約するのであれば、祖母の取引印と委任状が必要になりますので、それが提出されている限りは、叔父が祖母に無断で解約したと立証するのはなかなか難しいです。

ただ、解約したお金を叔父が祖母に無断で取り込んでいるのであれば、不当利得になりますし、祖母が叔父にあげたのであれば、贈与になります。

【叔母が受け取った100万円の出金は無断なら返還請求できる】

叔母が受け取った100万円についても、基本的に前記と同じで、祖母に無断であれば叔母に不当利得として返還請求が可能になりますし、また、そのような行為をした叔父について不法行為で損害賠償を求めることもできます。

そのため、ここでも預貯金の払い戻し書類を確認しておく必要があります。

ただ、キャッシュカードでの出金の可能性もありますが、その場合にはそのカードを保管していた者(おそらく叔父)が引き出したと推定される可能性も高いです。

なお、祖母が同意していた場合には、叔母は法定相続人ではないため、原則として特別受益としての持ち戻しができませんのでご注意ください(リンク:Q&A №668をご参照ください)。

【同居していた時の慰謝料を支払う必要はない】

叔父が「同居していた時の慰謝料」という主張している点については、細かな事情が分かりませんが、まず、このようなケースで慰謝料が認められることはないでしょう。

又、叔父への月10万円の支払いも、祖母の意思を確認する必要がありますが、明確に《そのようにして欲しい》という回答でない限り、支払いの必要はありません。

(弁護士 岡井理紗)

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