遺産分割調停申し立てにあたり
父が死んで後、母が全く遺産の分割に応じる様子がないので遺産分割調停を申し込もうと考えています。
そこで色々調べていくうちに金融機関で被相続人の預金残高や入出金履歴を調べた方がいいと書いてありました。
しかし、私の母はすでに父親名義の口座からお金を自分名義の口座に移し替えているはずですし、今まで父の給料なども全て母親名義の口座に振り込まれるようにしていた可能性があり、父の口座の開示だけでは遺産がどれだけあるのか分からない可能性が高いです。
私が母親名義の口座の開示を金融機関に求められる可能性はありますでしょうか。
記載内容 他人の預金調査 調停を利用しての遺産調査
【親子でも他人であって、預金開示は困難】
被相続人の遺産が生前に誰かによって引き出された、というようなケースはよくあります。
被相続人の預金残高や取引履歴は、相続人であれば調査が可能です。
でも、そこでわかるのは被相続人口座の入出金のみです。
被相続人の口座からの出金はあの人がしたのでは・・と思うことも多いと思います。
しかし、被相続人以外の預金口座はたとえ母親のものでも、息子のものでも、《他人の財産》であり、金融機関に照会しても回答してくれません。
預金の内容は金銭にかかわる非常に重要なプライバシーだからです。
【調停委員を通じて問い質すという方法は・・】
お母さんが遺産を取り込んだ可能性があるのなら、お母さん相手に遺産分割調停を申立し、調停委員を通じてお母さんに預金口座の開示の同意をしてもらうということも考えられますが、残念ながら、大概の場合、まともな開示はしてもらえません。
【証明すべき事項は?】
当事務所では遺産調査が多いのですが、被相続人の取引履歴を取寄せして、不審な出金があった場合に行うべき調査事項のうち、いくつかをお教えしましょう。
≪カードで出金している場合≫
そのカードを誰が保管していたのか?
そのカードによって引き出したのはどこの金融機関で、誰がその金融機関に行ける可能性があるのか?
≪払戻手続で引出≫
払戻伝票の署名は誰の筆跡か?
【裁判手続きの中で調査する】
調停が不調となり、裁判になれば、裁判所を通じて調査の申し出をすることができます。
取り込んだという人の金融機関(支店名まで必要です)がはっきりしているのなら、裁判所からその人の取引履歴などを調査してもらうことも可能です。
ただ、調査をするべき銀行名や支店名などをどう探すのか、また、裁判所がそのような調査をする必要があると思ってくれるような裏付資料が必要です。
【調停の前に専門家に相談を】
質問のケースでは、予め、綿密な遺産調査が必要です。
取引履歴からどれだけのことが判明するのか、どのような調査をするのがよいのか等、相続に詳しい弁護士に相談し、調査を依頼される必要があると思います。
兵庫県弁護士会 http://www.hyogoben.or.jp/