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実例Q&A

★兄が受けた生前贈与と兄の子らの相続権【Q&A №24】 0024

2010年3月3日


 

 

父(08死去)が子供に不動産を指定して公正遺言証書に残していました。

長兄は父より早く亡くなり(04)生前贈与があり、孫にまでやりたくないと、遺言書を書き換えました。

07年に三女が亡くなりこの時点で父の痴呆が少し進み、遺言書はそのままです。

問題は長兄の子4人が生前贈与は父親が貰ったもので自分達は知らないと言います。

(長兄が確かに貰ったと書いたものが残っています)

公証人は三女の持ち分を相続人全員で割合に応じてといわれました。

この場合生前贈与が相続額を上回っていれば長兄の子4人には0円でもかまわないのですか。

何人かの弁護士、税理士の方に伺いましたが解釈が皆違います。

宜しくお願いします。

(やさしい大家さん)

 

 

【長兄の子が遺産をもらえるのは遺留分減殺請求以外にはない】

本件では、遺言書がありますので、父親の遺産の分配はこの遺言書に従って行われます。

父親は、長兄の子に遺産をやりたくないと考え、遺言書を書き換えたのですから、長兄の子が遺産をもらえる方法としては、遺留分減殺請求しかありません。

なお、長兄の子の遺留分は、4人合計で相続財産×法定相続分×2分の1です。

【特別受益は相続財産に含まれる】

遺留分計算の前提となる財産には、父親が亡くなったときにあった財産だけでなく、生前贈与などの特別受益も含まれます。

今回の質問における生前贈与も特別受益に当たります。

【長兄の特別受は、その代襲相続人である子がもらったと同視される】

父親が亡くなる前に、その子である長兄が亡くなった場合には、その子(孫)が長兄の地位を引き継いで父親(祖父)の遺産を相続できます(これを代襲相続といいます)。

ただ、長兄の地位を引き継ぐことから、長兄が父親から生前贈与を受けていれば、その子の遺留分額を下回っているかの判断で、子が特別受益をもらったという扱いになります(長兄の子が生前贈与を知っているかどうかは全く関係ありません)。

【遺留分が認められるためには】

遺留分減殺請求が認められるためには、遺留分の額以下の相続財産しか取得していない場合です。

具体的に言えば、遺留分が認められるのは、長兄の受けた生前贈与が、相続財産(特別受益と父親死亡時の遺産の合算額)×法定相続分×2分の1で算出される額より少ない場合だけです。

生前贈与の方が多い場合には長兄の子には遺留分は認められず、従って、父親の遺産からもらえる分はないということになります。

【三女の相続分は他の相続人に均等に分配されます】

三女は父親より早く死亡していますので、父親の遺言書で三女に相続させると記載がある分については効力がありません。

そのため、遺言書で三女に行くことになっていた財産については、通常の相続と同様に、法定相続分に従って続人が相続することになります。

【専門家の意見が違った理由】

質問では、他の弁護士や税理士に聞いたが意見が異なったと記載されています。

遺留分の計算は、財産の評価が必要です。

そのため、生前贈与や遺産の中に不動産があれば、その価額をどの程度に評価するかによって、遺留分額が異なり、その結果、遺留分の有無という結論が異なってきます。

そのへんが専門家の意見の異なった理由かもしれません。

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