金銭の相続は分かりますが、土地の相続で疑問点が・・・ 親の土地に相続人(4人)の一人が家を建てて住んでいる状態の時に相続が発生しましたら、どのように考えるのでしょうかぁ?
金銭に換算する方法以外に考えられる事が有りましたら教えていただけますでしょうかぁ?
【建物、土地利用権はどうなるか】
親(以下、被相続人といいます)の土地の上に相続人の一人(以下、Aさんといいます)が建物が建て、居住している場合です。
相続の対象となる土地の上に立っているAさんの建物を撤去しなければならないのか、土地利用権は何か、土地価額がどうなるか、が問題になります。
Aさんが被相続人に賃料を支払っていたのであれば、借地権となります。この場合には、Aさんが自分の土地の底地を引き続き使用することができ、遺産としては借地権付の土地が相続の対象となります。
賃料を支払わずにAさんが使用していた場合には、被相続人とAさんとの間で使用貸借契約が成立していたことになります。
この使用貸借は、法律では賃貸人が死亡した場合には消滅するとされており、被相続人が死亡した場合にはAさんは建物を撤去しなければならないのが原則ですが、現実には建物の存続を前提として解決することが多いです。
本件のようにAさんが居住している場合には、被相続人としても、自分が死後にもその建物を使用させるという前提で建築を認めたと思われますので、最終的には、建物を存続させた上での解決をさぐるということになります。
【適切な遺産の分割方法は】
遺言があればそれに従いますが、ない場合には遺産分割の協議をすることになります。
本件では、土地をAさんに取得してもらい、他の相続人は、土地に対する相続分に見合う金銭(代償金)をもらうというのが一番良い解決方法でしょう。
その場合、借地権であれば、土地の値段は更地価格から60%程度減少して評価されることになります。(ただ、この減価分はAさんの特別受益ではないかという問題もあります。)
使用貸借であれば、その土地の使用分に見合う金額を減価しての遺産分割をすることになります(が、特別受益の問題が生じる可能性があるのは借地権と同じです)。
Aさんが代償金を支払うお金がない場合には、他の相続財産があれば、その分をAさん以外の相続人で取得するという方法もあります。
ただ、遺産が土地だけで、Aさんにお金がないというのであれば、土地は相続人の共有にして、Aさんから土地の賃料を払ってもらうこともできます。
相続人間で、話がまとまらないときは、土地を売却して、その代金を分割するという方法も考えられますが、本件のような他人の建物がある土地については、購入する人も少なく、売却金額も著しく低額になるため、この方法はできるだけ避け、互譲の精神で円満な解決を目指されることをお勧めします。