相続の話がはじまりました。
相続人・・・配偶者(母)・長男A・長女
現在母は施設に入所中で、長男が手続き等かかわっています。
長男の手元に母の通帳・印鑑・保健証等があります。
(勝手に実印を作っているかも知れません)
現在、長男45%・母31%。長女24%の分割になっています。
母より長男が多いのと、正確でない請求とか、長男の不誠実さ(基本の数字は変えないのですが、墓代を請求したり止めたりとか・・・)が理由で下書きに捺印していません。
「人を呼んでくる」と言ったままでしたが、先日、私に調停の呼び出しが届きました。
申立人:長男・他一名
今日、母の所に行き,聞きましたらAに頼まれて何かの書類に名前を書いたようです。
もし分割協議書の下書きのような書類に痴呆(Aは中度の痴呆とか話していました)の母が名前を書いたとすれば、どうする事も出来ないのでしょうかぁ?
署名していれば終わりだとか言う方もおいられます。
近い将来、母は我が家での暮らしを希望しています。
よろしくお願いします。
【意思能力を欠く署名は無効です】
認知症などで判断能力がなく、財産の売却などの意味が分からなくなっている人(意思能力を欠く人)が、署名・捺印をしても、その契約などは効力がありません。
母に認知症がどの程度か明らかではありませんが、「遺言の意味を理解できない程度」や「署名が財産を処分することになると理解できない程度」であれば、署名は無効です。
認知症の程度については「長谷川式認知スケール」などという検査方法がありますので、必要に応じて受けていただくといいでしょう。
【遺産分割協議書には全員の同意が必要です】
母が署名をした書面が遺産分割協議書(の下書き)ではないかということですが、遺産分割協議書にはあなたが捺印をしていないのであれば、その効力がありません。
遺産分割協議は、相続人全員の同意がないと効力は発生しないからです。
【調停を有利に利用することもできます】
裁判所から調停の通知が来ており、申立人が兄他1名ということですので、兄のほかに母が申立人となっているのでしょう。
兄らが出された調停ですが、この調停をあなたの立場で利用することができます。
調停には調停委員が関与しますので、母が認知症であることを調停委員に話して、意思能力があるかどうかを確認してもらうことができます。
次に、意思能力があったとされるなら、今度は母の真意(たとえば「本当に31%でいいのか」とか)を調停委員に聞いてもらうことも可能です。
【弁護士に依頼することも考えてもいいかもしれません】
遺産分割は、遺産価値の評価や法的な分配方法などに複雑な計算が要求されることが多く、調停委員も弁護士など法の専門家が担当することが多いほどです。
特に質問の場合には、母の意思能力が問題になるようですので、専門家である弁護士に依頼することも考えていいでしょう。