私は亡くなった父方(次男)の祖父母と私の子供3人と暮らしています。
祖父の(子)長男さんは結婚されていますが子供さんはいないし、祖父母の面倒を見ないので私が一緒に暮らしています(一緒に暮らしていることを長男は良く思っていません)。
長男さんは都会にマンションも買っているので祖父母は私か、私の子供たちに今住んでいる家の登記簿の名義を変えたいといいます。
しかし、私の父親は亡くなっていますし、長男さんが健在なので今名義をかえると、もめる元だと思います。
祖父は今変えないと、亡くなってからではややこしくなると心配しています。祖父は軽度のアルツハイマーですが今は薬を飲んでいるのであまりボケもありません。
名義も変え遺言状も書きたいと言っています。
どうゆう手順で何をしたらいいですか?
【生前贈与は避けた方がよい】
生前贈与にするのか遺言書にするかを判断するときには《紛争防止》と《税金対策》の2点を中心に考えるといいでしょう。
ご指摘のように、生前贈与をした場合には、伯父(祖父の長男)が「あなたが遺産を取り込もうとしている」と強く反発する可能性が高いです。
祖父の生前から、伯父との間で遺産を巡る激しい対立が生じるおそれがありますが、年長の伯父にあなたが対抗するのもなかなか難しいと思います。
また、税金面でも贈与より相続の方がはるかに有利です。
この他、贈与を受けると固定資産税も家の補修費も贈与を受けた人が支払うことになり、この負担の重さも考えると生前贈与は避けた方がよいでしょう。
【公正証書遺言を作成してもらうのがいいでしょう】
祖父の遺産をもらうには、遺言書を作成するといいでしょう。
ただ、祖父のアルツハイマー病がすすむと、意思能力がないと判断され、遺言の効力が認められません。
現在は軽くても、アルツハイマー病が進むことを考え、できるだけ早く、祖父に遺言書を書いてもらいましょう。
なお、遺言書は自筆で作成することも可能ですが、確実なのは公証役場で作成する「公正証書遺言」です。
費用はかかりますが、公証人という第三者が関与する分、後から無効を主張されるリスクも少なく、遺言書が紛失するリスクを避けることができます。
ぜひ、公正証書で遺言されることをお勧めします。
【認知症のテストを受けておく必要があります】
現在、祖父は軽いアルツハイマー病ということですが、将来、伯父が遺言書の効力を争うときには《遺言書を作成した当時には祖父はアルツハイマー病で意思能力がなかった》ということを必ず主張します。
そのため、遺言書作成の前に《長谷川式認知スケール》等の認知症の程度を調べるテストを受けておくといいでしょう(インターネットで検索すれば、どこの病院でしてもらえるかがわかります)。
将来、裁判等になった場合、《長谷川式認知スケール》が祖父の意思能力を示す重要な証拠として役立ちます。