先日被相続人が死亡
相続人は長男A長女B次女C次男Dの4人。
Bが包括受遺者となる公正証書が発見されました。
Aは生前「跡取りとして会社倒産時尽力をつくしてくれたので、全てやる」と言われていました(ちなみに私はAの子供)。
Aは遺留分を計算して公正証書を作成しておきましたが、その後Bが書き直したようです。
被相続人の配偶者他界後、被相続人が他界するまで数年はBが世話をしていて他者の入る隙は全くありませんでした。
ここで質問です。
Aが住んでいる土地は被相続人名義で建物はA名義です。
つまり使用貸借です。
Aが住んでいる一帯は、以前は借地であり、前借地人が退去する際、借地権をAが立替えて支払っています。
40年前で300万です。
今現在、私の手元にその書類がありませんが、Aが借地権を支払ったという契約書類はAの手元にあります。
これらの立替金額をBに請求することは可能でしょうか?
内容をきちんと確認しなければいけませんが、借地権買取の領収書なら立替(貸付)と認めてもらえますか?
借地権の買取の契約書類、だとその後使用貸借になっている以上、時効で権利は消失でしょうか?
相続で我家名義の土地になると約束を信じていたので、こんなことになるとは思っていませんでしたが・・・。
キーワードなどを教えていただけると幸いです。
【300万円は何のために支払われたお金か?】
被相続人は土地を貸しており、借地人がその上に建物を建築していたことを前提として回答します。
その「前借地人が退去する際、借地権をAが立替えて支払っています。40年前で300万です」とありますが、この300万円がどういう性質のお金であるのかが問題になります。
被相続人のためにした立替支払したというような被相続人に対する貸金であれば、被相続人に返還を求めることができ、その債務が相続により包括受遺者に相続される可能性があり、Bに支払いを請求できることになる可能性があります(但し、40年前の話ですので、時効で消滅していると反論される可能性が高いですが)。
【借地権付建物の譲渡代金の可能性が高い】
質問に記載された内容を前提に、事実関係を整理しながら話を進めていきます。
前の借地人が退去した、「Aが住んでいる土地は被相続人名義で建物はA名義」、「借地権の買取の契約書類」などという記載からみて、Aは前借地人の所有する借地権付建物を300万円で買い取ったとみるべきでしょう。
そうすると、300万円は被相続人に対する立替金でも、貸金でもなく、前借地人に対して支払った売買代金であり、Aは被相続人になんらの請求権もないということになります。
そのため、包括受遺者であるBに対して、相続債務を承継したので返還せよというような請求はできないという結論になります。
なお、この結論が正しいかどうかは、300万円を支払った時の契約書を見れば確認できますので、探されるいいでしょう。
もし、契約書がなくとも建物の登記簿の登記原因が売買となっていれば、借地権付建物の譲渡の可能性が高いということになります。
【使用貸借ならいつまで土地を使用できるか?】
Aは借地権付建物を買い取ったのですから、賃料を支払っていれば、借地権(賃借権)を主張できました。
ただ、その後、賃料を支払っていなかったようですので、Aの権利は「借地権」ではなく、被相続人とAさんとの間で土地の使用貸借契約に基づく「使用借権」に変わったと考えるべきでしょう。
包括受遺者のBとしては、借地権が存在しないことから、Aに建物収去、土地明渡を請求する可能性があります。
Aはその土地の使用借権を有していますが、問題はその権利がいつ終了するかです。
被相続人としては、Aの建物が存続する限りは、Aにその底地使用をさせるという気持ちがあったので、建物が朽ち果てるまでは使用貸借契約は消滅しないと主張されてみてはいかがでしょうか。
【キーワードは・・】
ネットで検索する場合には、「相続」と「使用貸借」をキーワードにされるといいでしょう。